[原子力産業新聞] 2002年1月7日 第2118号 <1面>

[フランス] 設備投資でEPR検討へ

政府内報告書が勧告「遅くとも3年以内に判断を」

フランス産業省が一日付けで伝えたところによると、最近政府内でまとめられた発電設備の長期的な投資計画に関する報告書で、EPR(欧州加圧水型炉)実験炉の建設について遅くとも2〜3年以内に判断を下すべきだとの見解が盛り込まれた。

作成を担当したのは、公共政策に関する計画委員会のJ.-M・シャルパン委員長の作業グループ。同報告書はC・ピエレ産業担当閣外相が1月初頭にL・ジョスパン首相に宛てた提言書簡にも添付されており、まもなく議会に送付される予定だという。2000年2月に公布された電力市場自由化法の規定に基づく内容で、今年末までに仏国のエネルギー政策について全国規模で大がかりな議論を行うべきだと勧告している。

報告書はまた、国内の既存の発電施設は少なくとも2010年まではベースロードおよび中間ベースロードの需要を賄うのに適当だとする一方、それまでの間に水力など再生可能エネルギー源のシェアを現在の15%から12%まで拡大する必要があると指摘した。取り挙げた5つの電源の中で原子力については、「フランスの発電設備が競争力を維持できるのは国内で58基稼働する原子力発電の安い発電コストに依るところが大きい」と強調。ある程度原子力に依存しているからこそフランスは対ドルの通貨交換レートや燃料価格の変動にさほど影響されないのだと指摘している。

このほか、同報告書の原子力に関する見解は次の通り。

(1)2010年までは新規原子炉を建設する必要はないが、長期的な原子力オプションの維持は既存炉の更新問題が浮上してきた時の準備という意味合いを持つ。仏電力公社(EDF)は「既存炉の安全性は40年間の運転寿命の中で実証されている」としているが、安全規制当局側は「運転認可の公布は個々の原子炉が30年の運転を終えた時点で、5年単位でケースバイケースで検討したい」と述べている。

(2)EPR実験炉の許認可手続きと建設には少なくとも7年かかることを考慮すると、ここ2〜3年のうちに関係各位と緊密に連携しながら建設するか否かの判断を下す必要がある。

(3)原子力の将来の扱いについては国全体で議論すべきであり、その際、可能性のあるすべての選択肢や考え方について十分比較検討することが重要。年末までに議会で予定されているエネルギー政策に関する法案審議はこの種の議題について最初に議論する機会になるだろう。

(4)長期的な観点からエネルギー政策立案者は複数の発電技術開発−特に高温ガス炉や新型軽水炉、液体ナトリムや鉛を冷却材として用いる原子炉設計などに特別な注意を払うべきである。


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