[原子力産業新聞] 2002年2月14日 第2124号 <2面>

[BNFLジャパン] パウエル社長に聞く

英原子燃料会社(BNFL)は1999年に発生したMOX燃料製造データ改ざん事件以降、品質管理の向上と信頼回復に全社をあげ努めてきたが、こうした努力のいくつかは案を結びつつある。本紙では同社のこれまでの取組みと今後について、日本法人BNFLジャパンのD.パウエル社長に話を聞いた。

−先日、BNFLとして日本の電力会社等に対する説明会を行ったということだが。

パウエル氏 先月末、セラフィールド事業所から品質保証・管理、運転員、労働組合等の分野の人々6名のチームが来日して、我が社の取組みの状況を包括的に説明した。データ改ざん事件以来、BNFLがどのように「変革」を進めてきたかを現場の人間の言葉を通して、日本の顧客と政府に聞いていただきたかった。日々現場で働いている者こそ、「生の説明」をさせていただくのに最適である。日本の顧客自身が今後、BNFLが成し遂げた進歩を判断する際の材料にしていただきたい。

−2年前の事件後、何を基本として改革の努力を払ってこられたか。

パウエル氏 当時、英国の原子力施設検査局が出した報告書に指摘された事項を改善するため、2000年3月に就任したアスキュー社長のもと、我が社としての規範を新たに設け、企業文化の改善に努めた。あわせて日本側から提示された5つの要求事項を満足させる努力も行った。このような我々の改革の成果に対しては、昨年11月、英国のヒューイット経済産業大臣などからも好恵的なコメントをいただいている。

−そうした中、昨年、セラフィールドMOX工場(SMP)の本格操業に対する許可が出されたが。

パウエル氏 英国の規制当局から許可が得られたことは、我々にとり大変重要な出来事であると考える。すでに、スイスやドイツ、スウェーデンの電力会社からMOX燃料製造契約を獲得している。これこそ「変革」を象徴する事例だ。問題を起こした旧工場とは違い、再発防止のため工程が高度に自動化された。データのセキュリティや自動検査システムの強化を図り、機器の改良なども行った。事件の教訓が活かされている。

−BNFLとしての今後の展望について。

パウエル氏 我が社は大きな進歩をしるしたが、なすべき事はまだ多い。政府は昨年11月末、債務引き継ぎ一括管理のため原子力債務管理機構を2003年に設立する計画を公表した。これにより我が杜は2大主要顧客グループに注力できるようになる。BNFLの将来の部分民営化にとっても良い動きだ。実現のために、さらに「変革」のプロセスを進展させたいと考えている。


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