[原子力産業新聞] 2002年2月14日 第2124号 <4面>

[三菱重工] 微量放射線の検出装置が完成

三菱重工業は4日、原子力施設、病院、研究施設などの放射線管理区域から発生する廃棄物などから出る微量の放射線を10秒で検出できる高感度の「微量放射線高速計測装置」を開発、この分野に本格的に進出すると発表した。これまで困難だった廃棄物の表面汚染(べー夕線)と内部の放射能(ガンマ線)の同時計測を国内で初めて可能にした測定装置で、同社の原子力技術を活用した新製品開発の一環として生み出された。この検出システムは検査が義務づけられている放射線管理区域での利用に加え、空港手荷物の検査などに幅広く使用することができることから、同社では今後、環境、セキュリティを中心に国内外に向けて市場の開拓に取り組んでいく方針だ。

同装置の最大の特徴は、アタッシュケース程度の大きさのものなら10秒ほどで放射能汚染、内部放射能の有無を計測できることで、放射線ごとに異なる波長を識別できる特殊な検出器を採用することにより実現した。また、検出器を複数個配列することでアタッシュケースよりも大きな物でも計測できるうえ、表面の汚染場所の特定や汚染の分布状況を示す機能も有している。

従来の装置では表面の汚染(ベータ線)と内部の汚染または放射線(ガンマ線)を区別して同時に計測することが不可能だったため、別々の装置でしかも手作業によって計測しており、人手と時間がかかっていた。同社ではこうした点を解決するため、特殊な二層の検出器と光信号処理を採用、べータ線とガンマ線の同時計測を可能にしたほか、10秒という短時間計測を実現。さらに連続測定を可能にしたことで、検査業務の効率向上に貢献できるという。


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