[原子力産業新聞] 2002年2月21日 第2125号 <1面>

[文部科学省] 2法人統合準備会議

特殊法人等整理合理化計画に基づく日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の新法人への統合にむけた道筋を話し合う文部科学省の「原子力二法人統合準備会議」(座長・青山丘文部科学副大臣)が15日、東京都内で初会合を開いた。二法人の現在の任務や事業内容等を見直すとともに新法人が果たすべき役割・機能の検討を行うため有識者ら12名で構成する同会議は、議論を進める上での基本的立場を確認した。今後関係者のヒアリングを進め、7月には中間的な報告書をとりまとめる予定だ。

二法人を所管する文部科学省の遠山敦子大臣は冒頭あいさつし、「事業の重点化と効率化を前提に、21世紀の原子力の姿を見据え研究開発の基盤を支えるための原子力研究の機構づくりに知恵を結集してほしい」と、同準備会議での議論に強く期待した。一方、座長をつとめる青山丘副大臣は、原研とサイクル機構の過去の実績と反省点を踏まえて社会の要請に応えられる新法人を設立する必要性を強調した。

準備会議では、まず当事者の原研とサイクル機構の両理事長がそれぞれ組織の現状や研究開発の実績などを説明。続いて意見交換が行われた。その中で、一旦廃止する両法人の資産や負債の取扱も検討すべき課題だとする意見や、サイクル機構は経済産業省との共管でもあることなどから、今後関係府省と十分連携をとり検討していくことが確認された。

委員からは、統合する過程で「現場」の声をできる限り吸い上げることが大事とする意見も出され、これに対して加納政務官は「改革の原点は現場にある」として、同準備会議が現場関係者の意見を聴く機会を設ける方向で検討することにした。

二法人統合は文部科学省主催で行われるが、研究開発機関は我が国の原子力政策遂行の要である以上、その過程では原子力委員会をはじめ関係機関の意見の反映が必要になる。統合をめぐる留意点としては、「単に『合計』するのではなくいかに『融合』していくか」(加納政務官)というとおり、新法人への相乗効果を引き出しよリ効果的な原子力開発につなげていく必要性も指摘されている。会合の席でも、「単に二法人の統合問題だけでなく、我が国全体の原子力政策遂行の仕組みについてもこの機会に考え直してみることも重要だ」との意見が述べられた。「世界のトップランナー」としての我が国の原子力研究開発のあり方自体も準備会議で議論していくことにもなりそうだ。

同会議では、次回会合を3月5日に開き、大学や産業界との連携・協力、国際協力などについて関係者からのヒアリングを行う。その後も、関係する府省や地元自治体、在日外国大使館の原子力参事官などから意見を聴き、二法人から新法人のあり方についての考え方や原子力委員会の見解も聴き、今年7月には中間報告書のとりまとめを行う。


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