[原子力産業新聞] 2002年2月21日 第2125号 <1面>

[原子力委員会] 参与からヒアリングを開始

日本原子力研究所と核燃料サイクル開発機構の統合、独立行政法人化をめぐり、原子力委員会は19日、同委員会参与からの意見聴取を開始した。同日の委員会定例会合では、元筑波大学プラズマ研究センター長教授の玉野輝男氏と高エネルギー加速器研究機構教授の永宮正治氏の2名が意見を述べた。

玉野氏は、新法人にも十分な国の関与が必要だとしたうえで、基礎研究が中心の原研とプロジェクト志向のサイクル機構の「有機的な結びつき」に期待するとした。新法人の組織としては、「必要に応じて人的資源を軸とした組織からの人材を中心に各プロジェクトを組織する方式」が重要だとの考えを伝えたほか、新法人には長期的な若手研究者・技術者を育成する役割が求められるとするとともに、給与体系と管理体系を切り離して考えることや、派生した技術を民営により開発する仕組みなどが必要だと述べた。

一方、永宮氏は今後の原子力研究開発は、原子力発電や燃料サイクル等の「核分裂によるエネルギー生成と関連する研究開発」、および核融合・加速器・レーザー等における研究開発など「基礎的科学技術の研究開発」が総合的にバランスよく進むことが重要だとして、「両機関の統合はこうした両面を一つの新法人の中で実現するための絶好のチャンスと捉え統合作業にあたるべき」との考えを示した。

さらに、新法人は産業界や関連の研究機関などと密接な連携を保つことで孤立化が避けることができると指摘したほか、大学などとの協力による新しい教育活動の創設について前向きに捉えるべきだとの意見を述べるなどした。


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