[原子力産業新聞] 2002年2月21日 第2125号 <1面>

[資源エネ庁] MOX工場立地へ説明会開く

日本原燃が青森県・六ヶ所村に建設を計画しているウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料工場について、経済産業省・資源エネルギー庁は17日、同村の文化交流プラザ「スワ二ー」で説明会を開催した。

国が前面に出て理解促進活動に取り組む方針から実施された同会は、エネ庁、原燃、電気事業連合会による説明が行われた前半と、会場から提出された意見をもとに、質疑応答が行われた後半の二部構成で実施され、会場に詰めかけた約440名(オブザーバー含む)の参加者は、最後まで熱心に耳を傾けていた。

日本原燃が計画する国内軽水炉用MOX燃料工場は、六ヶ所村再処理工場に隣接するかたちで建設が予定されており、年間の最大加工能力は約130トンHM。

2004年の着工、09年の操業開始の計画で、建設費は約1200億円が見込まれている。なお同計画について原燃は、昨年8月に青森県および六ヶ所村に、正式な立地協力要請を行っている。

説明会では冒頭の小林哲郎経済産業省東北経済産業局長の挨拶に続き、迎陽一資源エネルギー庁電力・ガス事業部長が、日本を取り巻くエネルギー事情の現状および、原子力、プルサーマルの必要性を解説。続いて事業者である日本原燃の佐々木正社長と鈴木光雄専務取締役が、事業の概要と安全対策などについて説明を行い、理解を求めた。さらに電事連から参加した濱田隆一専務理事は、プルサーマルを「2010年までに16〜18基で導入するよう固い決意で取り組んでいる」と述べ、引き続き理解促進活動などに力を入れていくことを強調した。

その後、会場から提出された意見を、コーディネーターをつとめる中村浩美氏(科学ジャーナリスト)が取りまとめて質問し、国、事業者らが答える形式で、質疑応答が行われた。

質疑では、工場について「臨界事故は起きないか」「テロ対策はどうなっているのか」などといった質問が数多く出され、それら質問に対し主催者側は、「工場は乾式工程で設計されるなど臨界安全性は高められているほか、従業員教育も徹底して行う」「米国同時多発テロ以降、テロ対策はより一層強化されている」などと説明し、理解を求めた。

また、再処理の経済性に対する質問も多く寄せられ、電事連側が「原子力発電に占める燃料費は約1割と非常に低い上に、MOX燃料の装荷は約3分の1炉心。全体でみると1%程度しか影響しない」との試算を示し、コスト上昇分は、企業努力などで吸収出来ることを説明した。


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