[原子力産業新聞] 2002年2月21日 第2125号 <3面>

[英UKAEA] ドーンレイの解体を発注

英原子力公社(UKAEA)は12日、スコットランドにあるドーンレイ・サイトの廃止・復旧計画で、最も重要で複雑なDFR(1万5000キロワット)の廃止作業のために6社で構成される企業連合と契約を結んだと発表した。

DFRは高速増殖炉技術の開発のため59年から77年まで稼働した実験炉で、冷却材としてナトリウム(NaK)を使っていた。閉鎖直後に二次系から73トンの液体金属が抜き取られたが、一次系にはまだ57トンが残存しているほか、977本の燃料棒が増殖ブランケット中に残っている。

今回、UKAEAと契約した企業はハルクロウ(設計)、インターサーブ(機器/電機)、エドマンド・ナッタル(建築/土木)、三井バブコック(プラント操業)、NNC(安全/環境)およびフラマトム(ロボット機器)で、DFRのコンクリート製上蓋からロボットを使って液体金属で汚染した全長9キロメートル以上ものパイプ類を切断・除去することになる。大方の冷却材が抜き取られ、残った増殖燃料の除去作業が始まり次第、圧力容器と付属パイプの除染を開始する予定。厳重に遮蔽したコンクリート蓋の内部で複雑なバイブ類を切断・除去する作業は放射線防護のため遠隔操作で実施される。また、ナトリウムが発火する危険性を避けるため、マイナス18度の内部温度で作業用車体を遠隔操作することになっている。

これらの作業だけで完了までに少なくとも2013年までかかり、コストは3000万ボンド(58億5000万円)と見積もられている。UKAEAはまた、約50名分の雇用にあたる1000万ポンドの契約を地元企業に発注する考え。企業連合による業務の主な特徴の一つはロボット工学など専門技術を地元企業に移転することで、今後はドーンレイだけでなく世界のどの場所においても廃止作業で競合していける能力が培われるはずだと強調している。

2013年以降2022年までの計画としてUKAEAは、ナトリウムの除去と廃棄を完了するとともに、燃料貯蔵槽の廃止措置、増殖燃料の抜き取り、一次系の除染などを予定。コストは1億7300万ポンド(約337億円)と見積もった。さらに2026年から2042年までの作業には2億5000万ポンド(487億5000万円)が必要だとしており、50〜60年間を要する同サイトの廃止・復旧計画全体では40億ポンド(7800億円)かかるとの見方を示している


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