[原子力産業新聞] 2002年2月28日 第2126号 <2面>

[日立と三菱重工] 原子力基盤技術で協力協定

日立製作所と三菱重工業は20日、原子力分野における基盤技術について協力協定を締結することで合意したと発表した。

両社は今後、日立が手掛ける沸騰水型軽水炉(BWR)と、三菱重工が手掛ける加圧水型軽水炉(PWR)に共通する配管・補機の設計・建設・製造、メンテナンスサービスなどの既存技術分野のほか、革新的原子炉などの将来技術分野についても協力関係を築いていく。

世界的にエネルギー需要の増加が予測される中、地球環境との調和を図りながら、エネルギーを長期的に供給するためには、安全性と経済性が高く、従来の軽水炉概念とは異なる革新炉の開発が求められている。

今回の協定は、原子力事業をめぐる将来展望を踏まえ、既存技術や設備など経営資源の有効活用を狙ったもので、両社の原子力事業の統合や合弁会社の設立、技術供与を含むものではなく、両社の協力によって社会から信頼される原子力設備とサービスの提供を行うのが目的という。

両社はまず、メンテナンスサービスと革新炉の協調関係についての検討を行う。また、技術交流を開始し、配管・補機の設計・建設・製造など具体的な協力分野や協力形態を検討していく。

ただし、BWR、PWRにおける原子炉、主要システム・機器などの技術については今回の協力の対象外で、従来から構築している日立とゼネラル・エレクトリック社(GE)、三菱重工とウェスチングハウス社(WH)との関係は継続する。

日立は1974年に純国産商用機第1号として運転を開始した中国電力島根1号機の建設に主契約メーカーとして携わるなど、世界有数のBWR技術を持つメーカー。原子カプラント建設の国産化を推推してきており、ABWR(改良型沸騰水型軽水炉)技術の開発についても、電力会社とともに主体的な役割を担っている。三菱重工は1970年に運転を開始した関西電力美浜発電所1号機の建設をはじめ、国内で23基のPWRを建設、さらに、ABWR(改良型加圧水型軽水炉)を開発するとともに、再処理・新型炉等原子力に関する広範な技術に取り組んでいる。


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