[原子力産業新聞] 2002年2月28日 第2126号 <3面>

[米DOE] 新規原子炉開発費を増強

米国エネルギー省(DOE)は4日、今年9月から始まる2003会計年度の予算要求額を発表し、2010年までに複数の新規原子炉の運転開始を目指すプログラムに約4000万ドルを計上していることなどを明らかにした。

DOE全体の総予算要求額は219億ドルで、エネルギー関係の予算は24億ドル(3200億円)ほど。このうちの半分以上は省エネやエネ効率化、再生可能エネ計画に割り当てられており、「原子力発電関係予算」全体としては今年度より15%少ない2億5000万ドル(333億円)を要求している。しかし、DOEの原子力・科学技術局は、今回の要求額では昨年ブッシュ大統領が発表した国家エネルギー政策の実質的な支援を意図したと説明しており、同国の総電力需要の20%を賄い、温室効果ガスを出さない原子力については利用拡大を明言。具体的には新規原子炉の建設・操業を阻んでる制度上、規制上、技術的な障壁を取り除くことに努力を傾注するとしており、研究開発費には合計で35%増の7150万ドル(95億円)を要求。このうち「原子力発電2010」と名付けた3850万ドル(51億円)の新規原子炉の開発プログラムも含めた原子力技術費としては今年度予算の288%という4650万ドル(62億円)計上しているのが特徴だ。

「原子力発電2010」では経費面で産業界と協力しつつ、コスト効率の高い新型原子力技術を開発するとともに、初期立地認可や建設・操業・一括認可などまだ試されていない新しい許認可手続きを実証。2005年までに複数の新規原子炉を発注し、2010年までにこれらの運転開始を目指すという。ここでは新型軽水炉および新型ガス冷却炉の技術開発活動に焦点が当てられている。

また、第四世代原子カシステム計画では、日本を含む9か国(GIF)が共同で2010年以降2030年までを目標に、安全性と信頼性および経済性に優れた核不拡散性の高い次世代型原子炉と燃料サイクルの技術開発を継続していく。2003年初頭までに同計画の「ロード・マップ」として、有望な技術概念を6〜8つ特定する作業を終え、その後、GIFのメンバー国とともに特定した技術の長期的な研究開発を始めるとしている。

DOEはこのほか、研究開発予算の中では原子力研究イニシアチブ(NERI)を22%減額して2500万ドル(33億3200万円)を要求。原子カプラント合理化プログラム(NEPO)については予算を計上していない。

軍用を含む「放射性廃棄物処分関係予算」については、DOEは今年度予算から40%増の5億2700万ドル(702億5000万円)を要求している。このうち、ネバダ州ユッカマウンテンに使用済み燃料を含む高レベル放射性廃棄物(HLW)の最終処分場を建設する計画には276%という大幅増の1億4670万ドル(195億5000万円)を計上。DOEのS.エイブラハム長官が今月14日にユッカマウンテンをブッシュ大統領にサイトとして勧告した翌日、大統領は同地をサイトとして承認している。議会が地元ネバダ州の異議を認めなければ具体的な許認可活動が展開されることになる。

また、活動経費としてユッカマウンテンのサイト特性調査に43%アップの4億2490万ドル(566億4000万円)を要求しており、認可申請や最終的な建設設計作業、操業確証試験や監視・評価活動など認可規制上必要な技術活動を実施する計画だ。DOEはさらに、廃棄物受入れ・貯蔵・輸送経費として1710万ドル(約23億円)を計上。こちらは今年度費用から317%増額したことになる。


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