[原子力産業新聞] 2002年3月7日 第2127号 <3面>

[英・BNFLとBE] 既存炉更新時期に合わせ準備

英原子燃料会社(BNFL)とブリティッシニ・エナジー(BE)社は2月26日、既存原子炉の大多数の取り替え用原子炉設計として可能性のあるウエスチングハウス(WH)社のAP1000で認可・規制やコストなど実行可能性を評価する協定を結んだと発表した。

今回の協定はBE社とカナダ原子力公社(AECL)がCANDU炉設計に関して昨年締結した協定と同様の内容。現在、政府が実施しているエネルギー政策の大掛かりな再検討に際して、両社は英国の今後のエネルギー・ミックスの中で原子力は主要な役割を果たすと指摘していた。

同じ日にロンドンで開催された協定調印式典の席でもBNFLのN・アスキュー最高経営責任者が「この協定は、政府内閣府の実績技術革新局(PIU)が作成したエネルギー政策の再検討に関する報告書が公けになって以来、既存原子力発電所の取り替え用原子炉を建設する可能性に向かって大きく前進する最初の具体的な動きとなった」と強調。BE社のR・ジェフリー会長も「原子力は英国の電力消費の25%を賄っており、我々が今後もガスや石炭を使い続ける余地を残してくれるだけでなく、地球環焼保護という点でも大いに役立ってくれている」と述べ、英国にとって原子力が必要欠くべからざる存在だと訴えた。

BE社はまた、今回のような協定こそ同社の「原子炉を原子炉で取り替える計画」の核を成すものであり、今後、AP1000とCANDU・NG炉のどちらが取り替え用原子炉として適切であるか評価する時期の見極めに道筋をつけるだろうと強調した。これら2つの原子力設計は、英国の既存原子炉が運転寿命を終える頃に商業レベルで取替えが可能になるようBE社が時期を計って特定したもの。CANDU・NG炉の方は、BE社の子会社が現在カナダのオンタリオ州でリース運転しているブルース原子力発電所の次世代型設計になるとしている。

今回の両社の協定は取り敢えず1年間有効で、原子炉供給業者になる可能性のあるBNFL/WH祉、および顧客となる可能性のあるBE社は次のような活動を実施することになる。すなわち、(1)AP1000が英国の既存炉の取替え用設計オプションとなった場合に備える(2)既存原子力発電所サイトにおけるAP1000の技術的な適性を評価する(3)コストや経済性、リスク・シェアリングなどが明示できるような事業モデルを作成する(4)AP1000の主要ファクターと実施戦略勧告を文書化する−など。


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