[原子力産業新聞] 2002年3月14日 第2128号 <3面>

[フィンランド] 「原子力維持」訴える

フィンランドのP・リッポネン首相は2月19日、欧州連合(EU)諸国は原子力オプションをエネルギー・ミックスに温存すべきだと訴えたほか、EUへの加盟を望む中・東欧諸国にエネルギー政策を強要するような方法を取ってはならないと警告した。

フィンランドでは1月に同首相の率いる社会民主党政権が5基目の原子炉建設を承認したばかり。リッポネン首相の見解は同日付けのフィナンシャル・タイムズに掲載されたもので、「ほかのEU加盟国では大手電力会社が化石燃料発電に偏重している」としてこれらの国の政策を鋭く批判。「いくつかの国ではなぜEUを石炭や天然ガスに頼るような化石燃料の権化とも言うべきものに変えようとするのか?」と疑問を投げかけるとともに、原子力はオプションの1つとして堅持しなければならないと訴えている。

同首相はまた、ドイツやスウェーデンなど脱原子力を決めた国々においても、実際には急激に原子炉を廃止することがないようあらゆる手段を講じていると指摘。もしもすべての西欧諸国がロシアなどの天然ガスに頼り続ければ急激な価格上昇は避けられないとの見通しを示している。

同首相はさらに、フィンランドは慎重にエネルギー多様化の道を選択したと強調するとともに、EUへの加盟を希望する中・東欧諸国に旧ソ連製原子炉の閉鎖を迫るようなEUのやり方は非常に不公平だとの認識を示しており、「言うなればエネ政策の帝国主義のようなものだ」と批判した。フィンランドでは現在でも旧ソ連製のPWRを2基操業しており、同首相は「この技術は世界で最も安全なものの1つ」と言明している。


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