[原子力産業新聞] 2002年3月21日 第2129号 <1面>

[政府] 原子力発電量3割増めざす

政府の地球温暖化対策推進本部(本部長・小泉純一郎首相)閣僚会議が19日開かれ、原子力発電の推進強化を含め京都議定書の温室効果ガス削減義務達成に向けての新しい地球温暖化対策推進大綱を正式に決定した。今回の大綱決定によって、京都議定書に掲げた目標達成にむけて国内の温暖化対策が本格化にスタートすることになる。

議定書の発効で「温室効果ガス平均排出量を2012年までに、1990年の排出量に比べて6%削減する」との義務が日本に課せられる。新大綱は、これを達成するために国内で実施する対策をまとめたもの。対策の進展状況は3年ごとにレビュー、2004年までの第1ステップでは、規制的な措置は取らず、企業や国民の自主的な取り組みを軸に進める。ただ、新大綱は、現行対策だけでは2010年の総排出量が90年比で7%増になると予測しており、議定書の削減義務である6%を加えた13%を削減するためには、廃棄物対策の一層の推進や森林吸収分の増加等に加えて、エネルギー消費に伴う二酸化炭素排出量を90年と同水準に抑える必要があるとしている。そのうえで、産業部門は同7%、民生部門は同2%の削減、これまでに排出量の伸びが顕著な運輸部門も同17%増に抑えることを掲げた。

こうした抜本的な省エネルギーの一方、エネルギー供給の面での原子力発電の役割は引き続き重要な位置付けとなっており、新大綱は「安全性の確保を大前提として、原子力発電を推進することをエネルギー政策の観点のみならず、地球温暖化対策の観点からも重要な課題と位置付け、今後、2010年度までの間に原子力発電電力量を2000年度と比較して約3割増加することを目指した原子力発電所の新増設が必要である」ことを明記した。

新大綱は原子力発電について「発電過程で二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化対策の観点からも重要な電源である。135万キロワット級の原子力発電所1基当たりの二酸化炭素削減効果は、石炭火力を代替した場合、1990年度のエネルギー起源の二酸化炭素排出量の約0.7%に相当するほど大きなもの」と評価している。そのため「引き続き増加するエネルギー需要を満たしつつ、我が国の削減目標を達成するためには、原子力発電所の新増設が不可欠」としている。


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