[原子力産業新聞] 2002年3月21日 第2129号 <2面>

[日本原燃]ウラン濃縮施設の設置許可に適法判断

日本原燃の六ヶ所ウラン濃縮工場について、地元六ヶ所村、横浜町在住者14名を含む171名が国を相手取り、同工場の核燃料物質加工事業許可無効確認・取消しを求めていた問題で、青森地方裁判所は15日、原告側の請求を棄却し、国の主張を全面的に認める判決を言い渡した。発電所以外の原子力関連施設の差し止め訴訟で、判決が言い渡されるのは初めてのこと。

判決ではまず、1989年7月に訴訟を起こした原告側171名のうち、地元六ヶ所村および横浜町に居住する14名を除く、全国から集まった157名の原告らについて、「本件施設の周辺住民には該当しない」ことから、原告適格を認めなかった。

そして争点となっているウラン濃縮工場は、原子炉等規制法に定める「加工」に該当することから、同施設の設置許可処分は「同法における加工の事業にかかわる規制に関する規定に基づくもの」と規定。そしてウラン濃縮工場の「設置許可処分の手続きは、原子炉等規制法その他の関係法規に基づいて適法に行われて」おり、また申請者である原燃には「所要の技術的能力がある」ことに加え、同工場について「核燃料物質による災害に対する安全対策が図られているとした原子力安全委員会の審査および判断の過程には、現在の科学技術水準に照らしても看過しがたい過誤、欠落」は認められず、これらの事に基づいて、加工事業許可処分をした内開総理大臣の判断には「不合理な点はない」とした。

これらの事から(1)原告のうち、提訴後死亡した1名については終了宣言をする(2)ウラン濃縮工場の周辺住民に該当する14名以外の原告らの訴えを却下する(3)原告適格を認めた14名の原告らの請求は、理由がないから棄却する−として、国の主張を全面的に認めた。

原子力安全・保安院長事務代理の談話

本日の判決は、これまでの国の主張を基本的に認めていただいた妥当な判決であるものと考えている。当院としては、今後とも原子力施設の安全確保に、一層の徹底を期してまいる所存だ。


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