[原子力産業新聞] 2002年3月21日 第2129号 <3面>

[米DOE] 新規立地手続きの試行へ

米国エネルギー省(DOE)のS・エイブラハム長官は4日、「原子力発電2010」計画における新たな段階として、新規原子力発電所・早期立地認可(ESP)手続きの試行に協力してくれる電力会社の募集を開始した。

原子力の拡大はプッシュ政権が昨年打ち出した国家エネルギー政策の中でも、環境を防護しつつ電力需要の増加に対応するための基本的な勧告項目。その具体策である「原子力発電2010」は、経費面で産業界と協力しつつコスト効率の高い新型原子力技術を開発し、2010年までに複数の新規原子炉の運開を目指している。今会計年度予算から約300万ドルを充てる今回の募集で、DOEは新規原子炉建設サイト選択や原子力規制委員会(NRC)への正式な早期立地認可申請に向けて経費分担のための官民共同体制構築を図る考えだ。

DOEとしては今後2年以内に4850万ドルほどを産業界から投資してもらい、新規原子炉の建設に適したサイトを模索するとともに、一層の効率性と効果、予測可能性の向上を目指してNRCが考案した新規原子炉認可手続きを実証。最も安全かつ最新鋭の原子力技術が米国で実現されるような研究を実施する計画だ。現段階では、30か月間のESP申請実証プロジェクトの実施を提案してくれる国内原子力発電会社および発電企業を4月15日まで募集し、春の終わり頃までには経費分担のための協力協定調印にこぎ着けたいとしている。アーキテクト・エンジニアやエンジニアリング・コンサルタント会社、原子力メーカー、国立研究所、非営利団体なども同プロジェクトの連携機関として含めたい考え。最終的に産業界は特定のサイト申請についてNRCからの承認獲得を目指すほか、今後のESPの基準改善に役立つよう、同プロジェクトで得られた教訓を報告書にまとめてDOEに提出することになっている。

エイブラハム長官はすでに今月始め、同プロジェクトの第1段階として、NRCへのESP準備・申請に必要なコストや具体的な活動内容、日程などを特定するための官民共同体制について発表済み。民間電力会社が所有するサイトやDOEのアイダホ国立工学環境研究所、サバンナリバーとポーツマスのDOEサイトについて、2つの大手電力会社が新規原子炉を建設する可能性を考慮中であることを明らかにしている。


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