[原子力産業新聞] 2002年3月28日 第2130号 <3面>

[ベルギー] 廃棄物処分費比較

14日付けで伝えられたところによると、ベルギーの放射性廃棄物・核物質管理庁(ONDRAF/NIRAS)の新しい報告書で、使用済み燃料を再処理せずに直接最終処分した場合、再処理オプションの約2.5倍の費用がかかるとの見積り結果が出ていたことが明らかになった。

「安全評価とフィージビリティに関する中間報告」と題されたこの報告書は、先月、ONDRAFがベルギー政府に提出していたもので、90年から2000年の10年間に同国の粘土質岩盤サイトの1つで実施された、長寿命の高レベル放射性廃棄物(HLW)を最終処分した場合のフィージビリティ研究による知見の集大成。ワンス・スルー・サイクル後の使用済み燃料を直接最終処分する施設の総経費と、完全に再処理してガラス固化した使用済み燃料のための最終処分場にかかる費用が試算・比較されている。ワンス・スルー・オプションでは使用済み燃料集合体の容積が膨大なため、主にその分の費用を総経費に追加。施設操業経費については両オプションでさほど差異はないとの前提になっている。

見積もり総経費は、施設の建設、操業、閉鎖の各段階で必要な「基本費用」を評価するとともに不確定マージンを乗じ、これに特定の個別費用を加えて算出された。74年から2000年の間に1億5000万ユーロ(180億円)ほどかかった研究開発コストや間接的な財政負担は含めていない。また、「基本費用」の算出では、廃棄物の種類や量、処分場の設計構造と規模、プロジェクトの各段階の日程、不確定要素の一元的な経費や見積もり評価などを考慮に入れた方法論を採用したとしている。

「不確定マージン」については、米電力研究所(EPRI)が原子力発電所のコスト分析のために独自に開発した計算方法を使って算出。プロジェクトの主要な三段階における不確定要素を考慮したとしている。


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