[原子力産業新聞] 2002年3月28日 第2130号 <3面>

[仏EDF] 発電所の安全性向上

フランス電力公社(EDF)は5日、国内の原子力発電所における昨年1年間の安全性評価報告書を公表し、「非常に良い年になった」とコメントした。

記者会見の席でC・フランツェン原子力安全検査官は、国際原子力事故評価尺度(INES)でレベルTもしくはそれ以上に評定された事象の数がユニットあたりの平均で1.6から1に改善されたと報告。運転仕様書との不一致もユニットあたり平均1.9から1.3に低下したことを明らかにしている。ただし、安全性改善の度合いは発電所ごとに極めて不均等なため、最良の作業慣行をシェアするという点で今後もかなり改善の余地があると指摘した。

放射線防護については、昨年はEDF職員のみならず下請け従業員の中にも20mSvを超えて被曝した者(97年には193人、2000年には2人が被曝)はいなかったと強調。また、仏国内ではまだ正式に採用されていないものの、従業員の5年間の最大許容被曝線量を100mSvと定めた欧州連合(EU)の放射線防護に関する新たな政令に対しても十分規制の範囲内に収まる実績を残したとしている。

なおフランツェン氏は同じ日、同氏の後任検査官となるP・ウィロス氏を正式に記者団に紹介した。仏空軍検査官や空軍内の原子力安全手順に関する責任機関の会長などを勤めたウィロス氏は、原子力発電所内で最良の作業慣行や管理方法、訓練、技能向上などを分かち合う方策はすでに手配済みだと明言。近年、EDF内部や国内原子力発電所、仏原子力安全当局の中で施行されているリストラ策は原子力安全の強化に役立ち、EDFの予算削減が原子力発電所の安全性に何の影響も与えていないという点を確証していく必要があると語った。


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