[原子力産業新聞] 2002年4月4日 第2131号 <1面>

[日本原燃] 新型遠心機開発 順調に進展

日本原燃は3月27日、ウラン濃縮むけ新型遠心機開発の進め方をとりまとめて発表した。昨年度までの開発成果を踏まえ、2010年頃を目処に世界最高水準の新型遠心機による役務生産を開始し、約10年間をかけて1500tSWU・年規模を達成する当初目標にむけ、順調に開発が進んでいるとしている。

原燃では開発目標として、最終的に国際役務価格並みを目指している。これまでに回転胴の直径、周速、回転胴の長さを決定し、経済性の重要ファクターである目標分離性能は金属胴遠心機の4〜5倍、目標寿命としては金属胴遠心機以上を見込めることを確認しているという。

開発体制については、すでに核燃料サイクル開発機構、原燃マシナリー及び日本原燃の人材を2000年11月に発足した同社ウラン濃縮技術開発センターに集結、今月からは六ヶ所村に拠点を移し、一層の効率化を図る方針だ。

実用化に向けた主要開発計画の進捗状況について原燃では、分離流動性に関し、サイクル機構で新型遠心機の原型である先導機開発における単機性能の確認に加え、昨年度末までに計画どおり、カスケードを組むために最低限必要な条件(圧力、流量、回転胴内の圧力)の設定を行ってきている。その結果、目標分離性能の評価として金属胴遠心機の4〜5倍となることを確認。回転性については、回転胴のバランシングを量産に適用できる作業期間まで短縮するために軸受耐力向上試験などを実施する計画で、昨年度末までにバランシング作業期間は量産時の目標を達成する見通しが得られている。

安全性についても、耐震性及び回転胴が破壊した場合にケーシングの支持構造体を通じて衝撃が波及しない構造の設計実証を行う開発全体計画のうち、昨年度は、計画どおりケーシング支持構造等の概念設計、ガス粉塵遮断方式の選定及び試験実施の初期設定として必要な商用プラントでの遠心機据付方式の概念検討を実施し、今後の開発条件を整備したとしている。長期信頼性の面では、そのために重要な回転胴底部部品について、耐遅れ破壊性を有することを確認するとともに、量産に対応した製造方法の見通しを得た。また、総合的長期信頼性試験を実施するための環境整備を完了した。

さらに、早期に停止した既存の遠心機の分解調査結果から、十分な洗浄条件を確立し保護被膜製造時における最適な処理条件を把握し適用することにより付着抑制の向上が図られ、合わせて耐力を向上した軸受の開発により長期信頼性の見通しが得られたという。また、ウラン化合物が付着しにくい材料選定等の構造設計を行っており、目標寿命として金属胴遠心機以上を見込めるとしている。


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