[原子力産業新聞] 2002年4月4日 第2131号 <3面>

[スウェーデン] 脱原発政策を批判

スウェーデンの労働組合は3月19日、ストックホルムで開催されたエネルギー関係の大規模な会議の席で、「国内の原子力発電所の運転年数を制限するなどドイツで導入したような政策を取れば電力価格の上昇と失業者の増加を招くことになる」と警告した。

同国では近々、実質的に原子力発電からの撤退を目的とするドイツ型の原則を取り入れた新たなエネルギー政策案が政府社会民主党および左翼党、中央党から提案されると予想されている。この政策案における政府の意図は、原子力発電に関してドイツで締結されたのと同様の協定が成立するか否か調査することにあるとも言われており、今秋にも政府と原子力発電会社の交渉が始まるとの見方もある。

しかし、社会民主党寄りの労組代表らは「このような取り引き協定は受け入れがたく、電力価格上昇と雇用削減につながる」との見解を提示。原子力を中心に既存発電設備容量の半分までを削減してしまえば、燃料価格が高騰するほか製紙や鉄鋼輌出など電力多消費型産業が痛手を受け、設備投資の抑制と雇用の喪失を招く結果になると訴えた。

また、もし議会で新しいエネルギー政策が承認されれば、国内で稼働する原子炉11基は運転薄命を約40年に限定されると労組は予想。政府提案によって原子力発電総経費の約15%にあたる特別原子力税が削減もしくは廃止される可能性もあるとしており、規制緩和された電力市場でしのぎを削る電力会社にとっては重荷になるだろうとの認識を示した。


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