[原子力産業新聞] 2002年4月4日 第2131号 <3面>

[米NRC] 圧力容器上蓋の健全性報告指示

米国原子力規制委員会(NRC)は18日、国内で稼働するPWR69基の運転会社に対し、圧力容器上蓋の健全性に関する情報と同上蓋が今後も一次圧カバウンダリとして機能し得る根拠について報告するよう通達した。

この通達は、オハイオ州で稼働するデービスベッセ原子力発電所(91万5,000キロワット、PWR)の圧力容器上蓋部で腐食損傷が見つかったことから出されたもの。NRCは同日、同発電所の損傷についても公聴会を開催するとの考えを明らかにしている。

同発電所では2月16日に開始した通常の燃料交換とメンテナンスの際、圧力容器上蓋貫通部のノズル三本で軸方向のクラックが、また上蓋部でホウ酸の堆積による腐食が原因と思われる7インチ×5インチ、深さ6インチの空隙が発見された。NRCは3月12日に拡大検査チームを同発電所に派遣し、発電所所有会社による上蓋劣化調査と評価作業の監視にあたらせている。

3月19日と20日に行われた公聴会でNRCは、この問題について米原子力エネルギー協会および米電力研究所の代表達と会談。産業界側はNRCの要請により実施した超音波検査の暫定的な結果について説明した。ここではまた、どの程度の目視検査が可能だったかやこの停止期間中に実施される検査の概要が明らかにされたと伝えられている。5日に予定されている公聴会では、NRCが拡大検査チームによる作業状況について関係者達にブリーフィングを行うとともに参加者側からもコメントを求める予定だ。

NRCはすでに3月15日、同発電所を運転するファーストエナジー社に「措置確認書」を送付。問題の解決と評価のために同社が実施を約束した項目を確認している。すなわち、(1)劣化発生の根本原因究明に必要と思われる機器を圧力容器上蓋およびノズル貫通部から分離・検査する(2)根本原因を断定し次第、NRCと討議する(3)劣化のメカニズムと関連のある原子炉冷却系全体について状態を評価する(4)同炉を再起動する際は事前にNRCの承認を得る(5)実施中の安全性評価作業の完了日程と計画を15日以内にNRCに提出する−など。


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