[原子力産業新聞] 2002年4月11日 第2132号 <1面>

[原産] 世界の原子力発電所 設備容量は過去最高に

日本原子力産業会議は2001年末の「世界の原子力発電開発の動向」調査を実施し、とりまとめ結果を10日、発表した。それによると、2001年末現在世界では、前年末より2基多い432基の原子力発電所が運転中で、合計出力は3億6,628万6,000キロワットであることが明らかになった。合計出力の数字は、これまで最高だった96年の3億6,569万4,000キロワットを上回り、過去最高を記録した。

2001年に新たに営業運転入りしたユニットは2基だった。また、建設中の発電所は43基、4,127万1,000キロワット(前回調査43基・4,143万6,000キロワット)、計画中は35基・2,660万4,000キロワット(同41基・3,133万8,000キロワット)となった。

同年中に新たに営業運転を開始した発電所はブラジルのアングラ2号機(加圧水型炉、130万9,000キロワット)とロシアのボルゴドンスク1号機(ロシア型加圧水型炉(VVER)、100万キロワット)の2基で、前年の8基より大きく減った。

ブラジルにとり2基目となるアングラ2号機は、中南米地域では95年に運開したメキシコのラグナベルデ2号機に続く6番目の原子力発電所。同機の運開で2001年の総発電電力量に占める原子力の割合は4.1%(前年は1.45%)となった。

一方、以前にはロストフ発電所と呼ばれていたロシアのボルゴドンスク1号機は、旧ソ連崩壊後ロシアとして初の新規サイトで運開したユニット。ロシアは今後、建設が中断している同2号機とともに他に建設中の2基の早期完成を目指す考えだ。

今回の調査でも、世界の中でアジアの原子力開発が順調に進展している状況が改めて浮き彫りになった。昨年4基が運転入りしたインドでは、クダンクラム1、2号機(VVER、各100万キロワット)とカイガ3、4号機(加圧型重水炉、各22万キロワット)の4基が間もなく建設開始の予定だ。アジアで新たに計画入りしたのは、韓国の新古里3、4号機(PWR、各140万キロワット)と日本の上関1、2号機(ABWR、各137.3万キロワット)の4基だった。

一方、電力自由化が進む欧米では、稼働中発電所の有効活用により発電量を増加させようとする動きが顕著になった。昨年欧米では新規に運開した原子力発電所はなかったが、米国を中心に定格出力の増強をはかったため、1年間で約60万キロワットの設備容量が増加する結果が表れた。


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