[原子力産業新聞] 2002年4月11日 第2132号 <1面>

[東京電力] 南社長「原子力推進の仕組みを」

今月4日に開かれた総合資源エネルギー調査会の第6回電気事業分科会で、東京電力の南直哉社長(電気事業連合会会長)は「電力自由化の目的は、競争原理を導入しながらお客さまの利益、ひいてはその総体であるわが国の利益の増進を図ることであり、これは現行制度の大原則でもある」とし、「こういう基本的スタンスから、自由化範囲を拡大し、最終的に全面自由化を目指すことについても前向きに検討したいと思っている」と述べて、完全自由化の議論を前向きにとらえていく姿勢を示した。

また、南社長は原子力推進と自由化の両立について「公益的課題との両立のうえで原子力が重要な柱をなすものであると考える」とし、「エネルギーセキュリティ、地球温暖化防止等で中核をなすものは原子力であり、これがないとわが国のエネルギー政策や環境政策は成り立たないと言っても過言ではない」との考えを示した。そのうえで「短期の利益追求が重視されがちになる自由化・競争市場化の環境の中で、長期的観点に立って、国の役割、民間の役割を明確にしながら、エネルギー政策の根幹である原子力発電全般の推進と両立できるような仕組みを整備することが必要」との認識を示した。

電気事業分科会では、電力供給システムの効率化やエネルギーセキュリティー等を論点に、自由化をめぐる議論を重ねてきており、今後完全自由化も視野に入れた電力供給の枠組みと具体的な制度設計に関する議論が進められることになる。その際、原子力等の長期的な電源開発といった公益的な課題との両立が制度設計上の主要な論点としてあげられている。


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