[原子力産業新聞] 2002年4月11日 第2132号 <3面>

[英国] 環境相再処理オプション見直し宣言に同意

英国のM.ミーチャー環境相は3月21日、ノルウェーのベルゲンで2日間に渡って開催されていた「北海会議」・第5回会合の最終日に、現行の再処理契約終了後は使用済み燃料管理オプションの見直しを促進すると明記した国際宣言文書に調印した。

北海会議は北海の環境防護を目的に沿岸諸国の閣僚級代表者達が包括的な議論を行うための政治フォーラムで、84年に第1回会合がブレーメンで開催された。今回の第5回会合にはノルウェーのほかデンマーク、ベルギー、英国、スウェーデン、ドイツ、オランダ、スイス、フランスなどが参加。ミーチャー環境相のスポークスマンは「ベルゲン宣言は構想文書的な性格を持つもので法的な拘束力はない」と強調しているが、英国と同じく国内に再処理工場を擁するフランスの代表者は、宣言文の再処理オプションの再評価を促す部分について「北海会議はこの問題を論議する適当な場ではない」との一文を脚注に入れさせ、文面に同意していない点を明記した。

同宣言文で、放射性物質による北海の汚染防止に関する記述は次の通り。

放射性物質海上輸送中の潜在的な事故に対する不安感が存在し、環境および住民の健康、北海の社会経済的な重要性を防護する必要がある。この意味で国際原子力機関(IAEA)の2001年総会が放射性物質の国際海上輪送で国際的な規制や対策を審議・改善していくよう呼びかけたことには満足している。

北海会議の参加閣僚達は、(1)放射性物質および使用済み燃料を輸送する際は、IAEAの決議に則して潜在的な影響を受ける諸国に保障を与えるよう北海沿岸諸国に促す(2)北海の汚染リスクを最小限に留めるよう放射性物質の輸送者と輸送国に促す(3)国際法に則して放射性物質の海上輸送規制や方策を審議・改善できるよう国や地方、地域、二国間のレベルでさらなる努力を呼びかける(4)遅くとも2006年中までにこの問題についての閣僚会合をスウェーデンで開催する。

我々はまた、現在主に再処理工場から海洋環境中に放射性物質が放出されている問題について対処が必要だと認識している。北海沿岸諸国のいくつかは英国セラフィールドから放出されるテクネチウムに懸念を抱いており、放出を停止すべきとの見解を表明。英国はこの問題に関する今後の決定の中でこうした懸念に取り組んでいくだろう。

参加閣僚達は放射性物質に関するオスパー(OSPAR)戦略を歓迎しており、(1)原子力施設からの放出を段階的に削減していくことに同意(2)そのための国家計画の実施を促進する(3)原子力施設の事故による放射性物質放出のリスクを最小限に留めるための方策を継続して強化していくよう北海沿岸の関係諸国に促す(4)既存の再処理契約が完了した時点で再処理管理オプションを再評価するよう沿岸の関係諸国に促す(5)2003年の閣僚会合で放射性物質の放出削減の進展状況について評価するようオスパー会議に要請する。


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