[原子力産業新聞] 2002年4月25日 第2134号 <2面>

[原子力発電技術機構] フランス原子力庁とフルMOX実証試験で取り決め

カダラッシュ研で炉物理試験

原子力発電技術機構 (NUPEC) は24日、フランス原子力庁 (CEA) 原子力開発局との間で全炉心ウラン・プルトニウム混合酸化物 (MOX) 燃料の炉物理試験を共同で行うための実施取り決めを交わした。同日午後、東京都・港区の同機構で行われた調印式には逢坂剛一理事長とJ.ブシャール CEA 原子力開発局長が出席した。

原子力発電技術機構は経済産業省からの委託で「全炉心混合酸化物燃料信頼性実証事業」を実施しており、その一環として臨界試験装置を使った炉物理試験が行われる。今回の取り決めに基づいて、沸騰水型軽水炉 (BWR) 用 MOX 燃料を対象として CEA カダラッシュ研究所の試験装置 (EOLE) で試験を共同実施することになる。

研究協力の実施期間は今年4月から7年間。今年度には試験用燃料棒約500本の製造など炉物理試験の準備を開始。2003年秋から4年程度かけて炉物理試験を行う。カダラッシュ研究所での試験には同機構からも専門家を派遣する。また、研究にはフランス側から CEA のほか COGEMA 社も参画する。

発電技術機構の逢坂理事長は席上、今回の共同研究に向け同機構が昨年から試験計画の内容を検討するとともに最近までフランス側と調整を進めてきていた点を紹介。一方、ブシャール局長は BWR 用の MOX 燃料試験は加圧水型炉が主流のフランスでは CEA にとっても新しい挑戦になるとして、共同研究の意義を強調した。

また調印式には、経済産業省原子力安全・保安院の佐々木宜彦院長やグルドー・モンターニュ駐日フランス大使が立ち会った。佐々木院長は取り決めの調印に対し、「共同研究で蓄積されるデータは規制当局のみならず産業界などにも MOX 燃料の有効利用のために活用されることが望ましい」などと述べて、共同研究の成果に対する期待を表した。

経済産業省では、同機構に委託した信頼性実証事業の中で、炉物理試験とならんで国内で3分の1 MOX 炉心の燃焼後燃料の分析評価をとおして、MOX 燃料の安全評価手法に関するデータの整備・蓄積を図ることにしている。


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