[原子力産業新聞] 2002年4月25日 第2134号 <3面>

[米国] ドミニオン社とエンタジー社、事前立地許可試験申請へ

2003年半ば以降に計画

米国のドミ二オン社は1日、同社がヴァージニア州で所有・操業しているノースアナ原子力発電所 (90万kW級PWR 2基) サイトを使って、2002年の秋にも事前立地認可 (ESP) を試験的に申請する考えであると原子力規制委員会 (NRC) に伝えた。

この申請によって同社は実際に新規の原子炉を建設するわけではなく、「まだ一度も試されていない新しい認可手続きである ESP を実証し、原子力産業界、潜在的には米国エネルギー省の努力に参加することを意図している」と強調した。

また、これに続いて、ニューオリンズを本拠地とするエンタジー社もグランドガルフ原子力発電所 (130万6,000kW、BWR) サイトで事前立地認可を申請する計画を16日付けで明らかにしている。

同社の狙いは、将来、新型原子炉の建設が可能な状況になるまで原子カオプションを維持しておくことにあり、NRC への申請書提出は2003年6月を予定。同社のR.ハッチンソン副社長は「我々の決定の意図は直ちに原子炉を新規建設することではなく、消費者や当社、さらには国家の工ネ自給に最高の利益をもたらす発電オプションを利用可能にしておくことだ」と強調した。同副社長によれば、現在米国内で新規で建設されている発電炉の殆どが天然ガス発電所であり、こうした選択は将来の電力供給に何らかのリスクをもたらすことになるという。

同氏はまた、「新規原子炉を建設するか否かは今後3〜5年間の経済情勢に左右される」と指摘しており、電力供給地域でどの程度の需要があり、どれだけの新型炉設計が NRC から認証を受けて建設可能か、他電源からの電力価格がどの程度か、そして新規原子炉による電力はどのくらいのコストで見込めるか −なとが判断基準であることを明らかにしている。

ESP は、電力会社が新規原子炉建設の財政判断を下す前に建設サイト特有の環境上その他の問題がクリアされたと NRC が承認したことを意味しており、エンタジー社としては、その申請準備することは規制上の不確定要素軽減を目指したこの最新方式の許認可手続きの第一ステップと捉えていると強調した。

なお、エンタジー社は申請書の準備に約1年かかると見積もっており、発電所立地地区での説明会開催など含めて NRC が申請書の審査を終えるには少なくとも2年は必要と予想。新システムで発給された ESP は20年間有効で、さらに20年間延長することも可能であることから、「新規の発電炉が顧客達の利益になると判断される日まで ESP を取っておくつもりだ」と語った。


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