[原子力産業新聞] 2002年4月25日 第2134号 <5面>

[原産年次大会] 午餐会で栗田福井県知事が講演

次回大会への期待示す

23日に開かれた「第35回原産年次大会」の午餐会では講演に先立ち、来年4月に予定されている同大会の次回開催県である福井県の栗田幸雄知事が挨拶を行った。

その中で同知事は、高速増殖炉「もんじゅ」を含め15基の原子力発電所が立地する同県が抱える原子力をめぐる課題について、(1) 今年2月に第一次公開ヒアリングが開催された日本原子力発電・敦賀発電所3、4号機の増設計画 (2) 1995年12月にナトリウム漏洩事故を起こした「もんじゅ」の問題 (3) 高浜発電所のプルサーマル計画 (4) 2003年3月に運転停止が決まっている新型転換炉「ふげん」の停止後の具体的な廃止措置 −等をあげ、同県の実情への理解を求めた。同知事は、敦賀3、4号機の増設計画について、「今後は、国の電源開発基本計画に組み入れることについて、総合資源エネルギー調査会から知事意見が求められることになり、安全性の確保や地域振興等について十分検討し、総合的に判断していきたい」と述べた。一方、改造工串について国の安全審査が進められている「もんじゅ」の問題については、「県独自の専門委員会において安全性に対する県民の疑問や不安などをもとに慎重に審議を進めている」と説明した。

同知事はまた、MOX 燃料のデータ不正問題により中断している高浜発電所のプルサーマル計画について、保管されている MOX 燃料を英国に返還することで日英両国政府の合意がされ、「日米原子力協定」に基づく米国の同意が先月得られたことを受け、「英国への返還が速やかに実現されるよう、国や事業者に対し強く要請している」と述べるとともに、「プルサーマル計画の実施については、国や事業者の輸入 MOX 燃料に関する品質保証体制が確立され、それに対する国民・県民の信頼確保が必要である」との考えを示した。

また同知事は、同県嶺南地域で来年計画している「食」「祭」「海」「エネルギー」をテーマとした『若狭路博2003』の関連イベントの1つとして「第36回原産年次大会」を位置付けているとして、「原子力をはじめとするエネルギーについて、県民、地域住民、さらには消費地の方々の理解が深まることを願っている。次回開催県として大会の成功に向け万全の準備を整え、皆様をお迎えしたい」と述べた。


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