[原子力産業新聞] 2002年5月9日 第2135号 <2面>

[発電技検・技術センター] 高経年化対応へ基盤固め

「高経年化技術センター」が、原子力発電所の高経年化に関する効果的な技術開発とその成果の活用の推進を専門的に手掛ける組織として、発電設備技術検査協会内に発足してから2年が経過した。

我が国では今後、運転開始後30年を超える原子力発電所が増加する見通しだが、発電所を可能な限り長期間安定運転することで原子力発電のメリットを最大限引き出すためには、発電所機器を健全に保つ安全確保対策は不可欠となる。こうしたなか、産官学一体のオールジャパン体制で高経年化技術に関する知見を一元的に集約し効果的な高経年化対策の技術基盤整備を目指す同センターの役割も重要性を増していくものと考えられる。

2000年4月の業務スタートから2年間は、高経年化技術センターはいわば助走期間として業務展開の基本的方向性を確立するなど基礎固めを続けてきた。

現在、センターには「技術開発」「成果活用」「技術評価」の3グループが置かれ、技術開発、規格・基準整備の推進、技術データの蓄積、国内外との技術交流−など、国から委託を受けて事業を実施しているところだ。

センター発足と同時に設置された「高経年化技術検討委員会(委員長・朝田泰英東京大学名誉教授)」では、大学、研究機関、電力会社、メーカーのほか、関係自治体も加わって、専門的でありながらも幅広い視点から検討を進め、透明性を確保し、中立的な立場でセンターが実施する活動の円滑な推進のため提言などを行っている。

先日開かれた委員会では、研究成果の具体的活用を図るため検討会の設置も新たに決められた。

設立2年を迎えた先月、同センターではインターネットと接続したデータベースの本格的な運用を開始した。これまで発電設備技術検査協会が実施した高経年化研究の成果の概要を中心に掲載。今後も内容の充実を図る考えだ。データベースは研究機関や電気事業者、メーカーなどが専門的に活用するのに加え、たとえば発電所立地地域の住民らが高経年化対応について理解を深めてもらうなど、一般にも広く利用してもらいたいという。

詳細は同センターホームページhttp://www.plec.jpに掲載されている。


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