[原子力産業新聞] 2002年5月9日 第2135号 <4面>

[年次大会セッション3] 信頼の構築にむけ

▽自由化と原子力

榎本氏 補修コストの低減などにまだ削減の余地はあり、米国での状況もみると日本では原子力発電所のコスト削減余地はまだまだあって競争力をもつことができると考える。先ほどプルサーマルは少し高いのではないかという話もあったが、確かにプルサーマルは高いと思うが、ウランよりMOXのほうが高いからやめるというような単純な議論ではなく、再処理技術やMOX加工技術等、将来使うであろう技術をきちんとまわすということが重要だ。それに対するコストは、将来にむけて品質を確保するために十分妥当なものか、自分たちが耐えられるものかどうかを考えながら進める必要がある。

内山氏 自由化はきわめて短期的な社会の問題になっている。地球環境問題や安全性の問題等は長期に構築していく問題なので、そのメカニズムが長期の視点を踏まえる必要がある。原子力の安全性、廃棄物等に関する新たな産業も今後発展していくことは間違いと考えている。

▽プル・リサイクルに対する信頼感

内山氏 科学的に定量評価できない問題をどのように社会のなかで互いに理解しあっていけるのか、非常に大きな課題だ。情報ネットワークを通じてさまざまなコミュニケーションが活発に行われるようになっており、今後そうした情報システムを使うことでギャップを埋め社会全体として望ましい方向へ発展すると期待している。

鈴木氏 対立あるいは信頼関係がなくなったときのルールとして、第三者を仲介として互いの不信感を溶かすような場をつくることが大事と思う。

榎本氏 信頼される組織として理解されること、また地域情勢の変化も踏まえやり方を変えていかないといけないと感じる。そのためには広聴というか、しっかり住民のなかに入っていって広聴活動をしっかりやって、我々が何をもとめられ、何をしなければならないか把握することが必要だ。

野田氏 今後は市民直接参加型にむけてコミコニケーション中心で地元の意見と、我々のマネージメントとどう結びつくのかを重視することが重要だ。


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