[原子力産業新聞] 2002年5月23日 第2137号 <2面>

[原研] 中性粒子ビーム連続入射成功

日本原子力研究所はこのほど、臨界プラズマ試験装置JT-60の負イオン中性粒子ビーム入射の性能を向上させ、36万電子ボルトの高エネルギーで2600キロワットの高パワー中性粒子ビームを10秒間連続してプラズマ中に入射することに成功した。

トカマク型核融合炉では、プラズマを加熱したり、連続運転に不可欠となるプラズマ電流を発生するため、高エネルギーの中性粒子ビームをプラズマ中に入射することが必要になる。商エネルギーでも変換効率にすぐれた負イオンビームを用いた中性粒子ビーム入射装置の開発が課題とされていた。

原研では、JT-60の負イオンビーム発生のイオン源にビーム軌道を微調整する技研を導入し、ビームの収束性能を従来より20%改善した結果、これまでの2倍となる最大入射時間10秒まで時間を伸ばすことに成功。長パルスでの運転が実現したことで、主要機器が8秒程度で温度が正常的な状態になることを確認したという。

負イオン中性粒子ビーム入射装置は国際熱核融合実験炉(ITER)の設計にも採用されている。原研では、今回得られた成果でITERの連続運転に対して同装置の技術的実現可能性がよリ高くなり、ITER用加熱電流駆動装置の開発に大きく貢献するものとしている。


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