[原子力産業新聞] 2002年5月30日 第2138号 <4面>

[東洋エンジニアリング] 貯蔵技術導入で契約

東洋エンジニアリングは27日、英国のアルステック社が使用済み燃料貯蔵技術として有する「ボールト貯蔵方式」を活用した貯蔵施設を日本国内へ導入するとともに販売を促進するための契約を同社との間で締結したことを明らかにした。

「ボールト貯蔵方式」は、原子力発電所から発生する使用済み燃料を金属製容器のキャニスタに収納し、コンクリート構造の空洞内で貯蔵する乾式貯蔵技術のひとつ。現在国内の使用済み燃料貯蔵技術として採用されている「金属キャスク貯蔵方式」や海外で採用されている「コンクリートキャスク貯蔵」「サイロ貯蔵」などの方式に比べて、「ボールト方式」を用いると貯蔵密度を高くすることができる利点がある。立地やコスト面での優位性がある貯蔵技術としての期待も大きい。

現在、「ボールト貯蔵方式」は国内の再処理施設から発生する高レベル廃棄物のガラス固化体の貯蔵方式として採用されている。東洋エンジニアリングでは、同方式を使用済み燃料貯蔵施設に導入することで、新たな事業展開が期待できるとしている。

同社は、国内の原子力発電所内における金属キャスクの保管、貯蔵施設の建設、金属キャスクによる使用済み燃料貯蔵の実用化などに多くの実績がある。今後、我が国での「ボールト貯蔵方式」による貯蔵施設の実現に向けてアルステック社の貯蔵技術を活用し、実用化に必要な技術の蓄積や低コスト化をはかり、将来的に増大が予想される使用済み燃料貯蔵の二ーズに対応していきたい考えだ。

契約相手の英国アルステック社は、原子力発電所の燃料ハンドリング設備等で実績のある旧GEC社の電力・機械システム部門を母体とする英国の大手企業で、一昨年アルストーム・グループから分離独立した。英国内で同社が建設した「ボールト貯蔵方式」による貯蔵施設は既に30年以上の運転実績があり、その後、米国、ハンガリー等でも建設実績がある。

米国では、軽水炉燃料に対応した貯蔵施設の認可も取得しているほか、現在、アイダホ州にある国立研究所内では同方式による最新型の貯蔵施設を建設する計画が進行中だ。

アルステック社の有する貯蔵技術は、使用済み燃料の最適な冷却技術および増設が容易にできる「モジュール構造の貯蔵システム」(モジュラー型ボールト貯蔵システム)が大きな特長となっている。


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