[原子力産業新聞] 2002年6月20日 第2141号 <2面>

[原子力委員会] 革新炉検討会、コンセプトブックまとめる

原子力委員会の研究開発専門部会に設けられた革新炉検討会(座長・岡芳明東大教授〕は18日、今後の革新炉開発の進め方の検討および内外で研究されている炉概念等を整理したコンセプトブックを盛り込んだ報告書案の審議を行った。

報告書案では、革新的原子カシステムの開発推進にあたって「エネルギーセキュリティの確保」、「新しい市場開拓を通じた原子力産業の活性化、新産業の創出」、「社会的受容性の向上」の3点を重要な視点にとりあげ、特に産業活性化等の面からの革新炉開発の意義について「市場を見据えて、国際的にも評価され得る有望な自主技術をわが国に蓄積することも長期的に極めて重要な視点」としている。そのうえで今後の開発を進めていくにあたっての革新的な原子カシステムの具体的な社会的ニーズとして、@核燃料資源の有効利用(エネルギー長期安定供給)A電力需要、設備投資における柔軟性B経済性の大幅な向上C原子力エネルギーの発電分野以外への有効利用D優れた安全性E環境負荷の低減F核拡散抵抗性の向上−の7つのポイントをあげている。

今回の報告書案には、これらのポイントを踏まえて現在研究開発が進められている炉概念が整理されたコンセプトブックがとりまとめられており、高速炉や高温ガス炉、小型軽水炉、超臨界圧炉等の13の炉概念について、その独自性や安全性、経済性等の要点、また実用化時期等の項目が端的にまとめられた。

各委員からは、産学官の連携や国際連携等に、従来の考え方にとらわれないよりポジティブな考え方を明確に打ち出していく必要があるなどの意見が出された。

報告案は各委員からの意見を踏まえて修正の後、パブリックコメントに付される予定。


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