[原子力産業新聞] 2002年6月20日 第2141号 <3面>

[スウェーデン原子力訓練安全センター] 約8割が原子力支持

スウェーデン原子力訓練安全センター(KSU)が5月31日に伝えたところによると、同センターの分析グループの委託により同国の世論調査機関である宙EMO社が5月に実施した世論調査で、80%近い国民が原子力をエネルギー源の1つとして継続して開発利用していくべきだと回答していたことが明らかになった。

この調査は1003名のスウェーデン人を対象に電話によるインタビュー形式で行われた。その結果、回答者の78%が「原子力の開発利用を何らかの形で続けていくべきだ」との考えを支持する一方、19%は政府決定に従って既存炉を早期閉鎖していくことに賛成。このほか3%が「意見なし」と答えている。78%のうち35%の回答者は特に、「既存の11基が国の安全当局が要求する安全基準を満たしている限り操業を継続させるべきだ」との見解を示したほか、28%が「コストや安全上の問題で既存炉11基が閉鎖に至った後は原子炉で取り替える」という案を受け入れてもよいと回答。残りの15%はさらに踏み込んで、「原子力開発オプションの拡大および必要に応じた新規原子炉の建設」に賛成の意を表明している。

また、環境保全関連で最も重要と感じている問題は何かという設問では、71%が温室効果ガスの排出削減を選択したのに対し、14%は「水力発電に使われていない河川の保全」を挙げた。原子力発電の段階的廃止を最優先課題だとした人の割合は10%に留まっており、5%が「意見なし」と答えている。

なお、今回の調査では人口が最も密集する南部地域で原子力を強力に支持する人の割合が高いという結果が出ている。異体的にはこの地域の回答書の31%が既存炉の操業継続を支持するとともに、同じ31%が既存炉が設計寿命を終えた後、原子炉で取り替えることを希望。25%がさらなる原子力開発と新規原子炉の建設に賛意を示した一方で、政府の原子炉早期閉鎖計画を支持する人の割合は14%に過ぎないという結果だった。

同様の調査は昨年11月にも実施されているが、KSUでは全体として原子力に対するスウェーデン国民の見解は概ね変化なしと分析している。


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