[原子力産業新聞] 2002年6月27日 第2142号 <4面>

[文部科学省] 総合的な研究開発の拠点に

文部科学省の原子力二法人統合準備会議(座長青山丘文部科学副大臣)は25日の会合で、基本報告書の骨子となる文案を提示、審議した、骨子案は基本認識として、我が国の国是として平和利用に限る原子力の研究開発の推進を確認するとともに、ナショナルセキュリティーとしての原子力研究開発利用を明らかにし、「統合を原子力に対する国民の支持を回復するとともに新たな発展を目指す重要な機会」と捉えている。

新法人設立の基本理念について、新法人は総合的な研究開発拠点(Center of Excellence)としての役割を果し、開発利用推進の安全面での中核的役割を担うとしたほか、現在の両法人の事業見直しや共通部分をスリム化することや、効率化と資源の集中を行うこと、効率的なマネジメント体制の構築、安全確保を前提とした地域との共生−などが必要としている。

新法人に求められる役割として、@基礎・基盤研究の推進A核燃料サイクルの確立を目指した研究を産業界との連携のもとに進めることB原子力安全の確立・維持への研究の推進C大学との役割分担、人材育成面での連携・協力D産業界に対する研究成果や人材の移転の推進E施設・設備の整備と大学等への積極的な開放−などを示している。

こうした役割を果たすうえで必要な組織運営面では、法人の自主性や自立性、活動の透明性向上、外部評価体制などが必要としたほか、経常理念をさらに明確化することや、基礎基盤研究とプロジェクト研究といった異質な事業をまとめ経営の一体性確保を可能にする運営が必要とした。そのほか、若手研究らにとり挑戦的な目標や研究内容の設定、中立性に配慮した安全研究の運営、十分な安全確保など立地地域の信頼確保といった点が業務運営に求められるとした。

こうした骨子案をめぐって委員会からは、「放射線分野も新法人の研究開発の柱として明確に位置付けるべき」「ニ法人の実施している事業を挙げたうえで、統合により何が期待できるのかを国民に理解しやすく記述すべき」「新法人の経営陣に産業界と学界から参加する必要がある」「新法人が原子力長計遂行の担い手であることの明記を」といった意見が出されたほか、両法人の抱える欠損金の処理や廃棄物対策の対処のシナリオをあらかじめ整えておく必要性が指摘された。

委員からの意見を踏まえたうえで、準備会議は次回7月16日の会合で、詳細な報告書文案の検討に入る。


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