[原子力産業新聞] 2002年6月27日 第2142号 <3面>

[IAEA] 線源探索チーム派遣

国際原子力機関(IAEA)は10日、グルジアで所在不明となっている放射線源を探索するため国際チームを派遣したと発表した。

探索エリアとして指定されているのはグルジア西部550平方メートルの区域で、IAEAおよびインド、フランス、トルコ、米国の放射線専門家のほかにグルジア国民を交えた総勢80名ほどが1週間ほどかけて廃棄されたストロンチウム90線源の探索を実施する。同線源は遠隔区域での通信局用発電機に使われていたと見られており、これまでに6本をすでに回収、指定区域内のいずれかにあと2本、放置されていることが分かっている。

IAEAによる探索計画は2段階構成になっており、今回開始された第1段階では、精度の高い線源探知機や機器を使い管理区域外に放置されている線源を探し出す予定。探索に指定された区域内を徒歩、あるいは車や馬などで移動しながら地道に調査を行うとしている。9月初旬からの第2段階では、第1段階とは異なる区域を地上と上空から探索するとしている。

IAEAは97年からグルジアにおける放射線安全管理のレベル改善に協力しており、90年代半ば以降、281本以上の放射線源を回収。それらの多くは廃止された旧ソビエト連邦の軍事基地で発見されたもので、現在ではすべて安全に保管されている。今年2月にはIAEAが支援するグルジアのチームが密封されていないストロンチウム90線源2本を無事に回収したが、昨年、この線源を最初に森の中で発見した木材伐採職人のうち2人は深刻な放射性疾患および火傷によりフランスとロシアの医療施設で加療中となっている。


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