[原子力産業新聞] 2002年 7月 11日 第2144号 <1面>

[関西電力] MOX輸送船が出港

関西電力が高浜発電所で保管していた英国BNFL社製のウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料8体が4日、輸送船「パシフィック・ピンテール号」(約5000トン)に積み込まれ、同日午後、関電高浜発電所を出港した。品質保証データの一部不正が明らかになって以来、足踏み状態にあった関電のプルサーマルだが、今回の返送実現により、再開へ向けた大きな課題をひとつクリアしたことになる。

2基の輸送容器に収められた返送されるMOX燃料は、4日午前に発電所構内から専用トレーラーで運び出され、10時40分に船積み作業が開始。13時に全ての積込み作業は終了し、15時32分に離岸した。

MOX燃料を積載した「ピンテール号」は、洋上で「パシフィック・ティール号」と合流し、南西太平洋・南アフリカルートを通って英国へ向けた長い航海を共に進めて行く。なお英国への到着時期については、セキュリティ確保に万全を期する観点から公表されていない。

輸送船が出航したことを受けて、BNFLジャパンのD.パウエル社長が都内で会見を聞き、「高浜4号機の燃料返還はBNFLの日本における再建に向けた第一歩」として、信頼の回復に全力を投入する姿勢を明らかにした。

パウエル社長は、BNFLが品質管理体制等に組織をあげて改革に取り組んできている状況などを説明したうえで「過去の厳しい教訓を忘れることなく、将来に焦点をあてて事業を進める」とした。


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