[原子力産業新聞] 2002年 7月 11日 第2144号 <1面>

[東京電力] 増税受け入れば不可能

福島県議会で5日、核燃料税条例案が可決されたことについて、東京電力は同日、現行税率の2倍近い水準(一定期間後は2倍を超える)となる同条例は到底受入れられない」とする声明を発表した。

条例案は、福島県内の原子力発電所(東電の福島第1・第2原子力発電所)の燃料に課税する核燃料税を、現行の燃料価格7%から10%へと引き上げるとともに、新たに燃料の重量1キログラムあたり6000円(一定期間後1万1000円に増加)課税し、実質課税率を当面13.5%(一定期間後16.5%)にしようというもの。東電は福島県における唯一の核燃料税の納税者として、実質的に新税の創設というべき増税案が十分かつ納得のいく説明のないうちに県議会に提出され、公聴会などの場における発言の機会も与えられないまま可決に至ったことは「甚だ遺憾」としている。

東電はさらに、同社と県当局との間に核燃料税で担うべきものとされている対象事業の負担割合その他で大きな隔たりがあるとするとともに、「今回のように納税者が単一であり、しかも選挙権がなく地方自治に関して意思表明することが難しい特定企業に対して(増税が)行なわれる場合、納税者への説明責任が十分に果たされなければ租税制定権の乱用や租税制定手続き上の瑕疵が問われることになるから、一層慎重かつ丁寧な配慮がなされるべきと考える」として、このような状況で「『見切り発車』的な形で議会に上程されるなど一方的に手続きが進められたことは、適正さを欠いていると言わざるを得ない」と強調。また、@重要な経済施策として位置づけされている、電力コスト低減による産業の活性化に対しても、同条例がこのまま施行された場合は、それを阻害すると考えるA今回のような突出した増税が行われれば、他の原子力立地地域へ波及する可能性が高く、新たな立地意欲が削がれる可能性があり、エネルギーの長期安定供給と地球温暖化への対応のための原子力推進という国の重要なエネルギー政策に反することは明白−として、今後とも総務省ならびに関係各方面などに対し、東電としての考えを理解してもらえるよう引続き強く要望していくとともに、福島県との協議継続を強く要望するとしている。

福島県における核燃料税に関する条例案可決について、同条例がわが国のエネルギー政策に与える影響について懸念を表明してきた経済産業省は5日、「今後、地方税法に基づき、総務省の同意を得るための協議が行われることになるが、経済産業省としては引き続き総務省に対し、当省の懸念を十分説明していく」と表明した。


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