[原子力産業新聞] 2002年 7月 11日 第2144号 <3面>

[米DOE] 事前立地認可で補助金

米国エネルギー省(DOE)のS.エイブラハム長官は6月24日、原子力発電所の事前立地認可(ESP)申請手続きのための補助金交付先として3つの電力会社を選定したと発表した。

DOEと民間電力会社との共同プロジェクトであるこのESP実証計画は、2010年までの新規原子炉建設を目指してDOEが2月に打ち出した「原子力・2010年イニシアチブ」の主要項目と位置づけられている。エイブラハム長官は原子力を「クリーンで豊富かつ信頼性のあるエネルギー源」と形容し、米国の将来のエネルギー供給の中でも非常に重要と評価。新技術を採用した安全な原子炉の建設を2010年までに実現するための第1ステップになるだろうと指摘した。

今回、補助金の交付先として選定されたのはドミニオン・エナジー社、エンタジー社、およびエクセロン社で、それ.ぞれヴァージエア州のノースーアナ原子力発電所サイト、ミシシッピ州のグランドガルフ発電所サイト、イリノイ州のクリントン発電所サイトについて、米国原子力規制委員会(NRC)から2005年頃までにESPの認可を取得するべく2003年秋には申請書を提出したい考え。DOEが補助するのは申請費用の半分で、4年間で約1700万ドル(20億8000万円)と見積っているが、各社の負担額については現在交渉中であることを明らかにしている。

ESPは89年にNRCが認可したシステムで、新規原子炉の建設を決定する前にサイト毎に評価を受け事前にNRCから認可を得るというもの。認可の有効期間は20年間で、実際の原子炉の建設・操業で承認を求める際、設計認証とともに利用することができる。これまでのシステムのように完成後に操業認可が下りないなどのリスクが避けられ、先の予想が可能なほか、手続きの簡素化が図られているのが特長だ。なお、DOEは「原子力・2010年」のために2003会計年度で3850万ドルの投資を計画している。


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