[原子力産業新聞] 2002年7月18日 第2145号 <2面>

[医用原子力技術研究振興財団] 対象者決定し贈呈式

医用原子力技術研究振興財団 (森亘理事長) は10日、2002年度「医用原子力技術に関する研究助成」対象者を決定し、都内で贈呈式を行った。

同制度は、医用原子力技術に関する基礎研究および診断・治療技術ならびに薬剤の研究開発等について、研究に携わる若手研究者を助成・支援するもの。今年度は、 (1) 腫瘍のcharacterizationの画像化に関する研究 (2) 人工知能を用いた放射線治療計画に関する研究 (3) 腫瘍および正常細胞内ホウ素濃度の測定に関する研究--の分野について、高い研究成果や将来性を期待できる若手研究者の推薦を関係機関に依頼。応募総数21件の中から、同助成選考委員会により研究の目的・方法や独創性、将来性・実用化、実績等などが審査され、以下の5名が決定した。(「」内は研究テーマ。)

名古屋市立大学量子放射線医学分野助手・荻野浩幸氏「肺癌リンパ節転移FDG-PET偽陽性例の放射線学的病理学的相関と病期分類の検討」▽北海道大学院医学研究科寄附講座教員・久下裕司氏「アポトーシスのインビボ画像化-腫瘍の薬剤・放射線感受性研究への応用」▽千葉大学院薬学研究部助手・上原知也氏「腫瘍細胞内グルタチオン量の画像化薬剤の開発」▽慶応義塾大学医学部放射線科助手・川口修氏「放射線治療症例の骨格案を利用するIMRT線量分布の自動最適化の実証的研究」▽広島大学原爆放射線医科学研究所助手・石川正純氏「非侵襲的ホウ素濃度分布測定システムPG-CSCの開発」。

また贈呈式に引き続き、2001年度同助成総合報告会が行われ、放射線治療の効果予知に関する基礎的・臨床的研究、画像診断による被ばく線量低減に関する研究、中性子捕捉化合物の腫瘍集積性の向上に関する研究について研究報告が、また大阪大学医学部放射線科の中村仁信教授が「IVRによる放射線障害の防止について」と題して特別講演を行った。


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