[原子力産業新聞] 2002年7月25日 第2146号 <1面>

[電事連] 福島・核燃料税問題で「増税は受入れ難い」

電気事業連合会の南直哉会長は19日の定例会見で、福島県議会が先頃可決、総務省に同意を求めている核燃料税の大幅増税について、電事連として到底受入れ難いものであるとする、電気事業者としての考え方をあらためて示すとともに、同問題の解決に向け、総務省・福島県はもとより、関係各位に広く理解を求めていく方針を明らかにした。

福島県の核燃料税条例は、同県内の原子力発電所 (東京電力の福島第1・第2原子力発電所) の燃料に課税する核燃料税を、現行の燃料価格7%から10%へと引き上げるとともに、新たに燃料の重量1キログラムあたりに対し6000円 (一定期間後は1万1000円) 課税しようというもので、実現すれば、実質課税率は当面13.5% (一定期間後16.5%) と、現在の2倍の税率になる。南会長は17日に、片山虎之助総務相に対し、福島県の核燃料税引上げに同意しないよう要請していた。

会見で同会長は、電力会社は一般税制に基づく国税や地方税の他に、電源開発促進税や核燃料税といった特有の税。さらには事業税については外形標準課税がかけられるなど、「売上高に占める租税負担は、電力10社平均で9.3%と、全産業平均に比べて4倍以上の極めて高い水準」と、他産業に比べて極めて高い税負担を負っている現状を挙げ、今回の福島県の提案は受け入れ難いものであることを強調。

さらに、今回の引上げは (1) 納税者への説明責任が果たされていない (2) 課税自主権の主旨や、憲法上の諸原則からも問題がある (3) 過重な負担であり、かつ実質的な二重課税である (4) 核燃料税で賄おうとする財政需要のうち、合理性に欠けるものが多い (5) 原子力立地地域振興特別措置法の活用が先決 (6) 国の経済施策との整合性を欠く--など、福臨県の増税には非常に問題が多いことを指摘した。

その上で南会長は、電事連としてこの問題を「業界全体の問題」ととらえ、総務省、福島県はもとより、関係各機関などに対して広く理解を求めていく方針であることを述べた。


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