[原子力産業新聞] 2002年7月25日 第2146号 <2面>

[原子力安全委員会] 金属キャスクで指針

原子力安全委員会は18日、原子力安全基準専門部会が検討をとりまとめた金属製乾式キャスクを用いる使用済み燃料中間貯蔵施設のための安全審査指針」について報告を受けて了承した。

同指針は、商業用原子力発電所から生じる使用済み燃料を金属製の乾式キャスクに収納して搬入し、長時間 (40年から60年間を想定) 貯蔵した後、搬出する使用済み燃料の中間貯蔵施設を念頭に、その客観的で合理的な安全審査指針をまとめたもの。

指針は自然環境等の施設立地の条件や、環境安全、臨界安全といった21の指針からなり、キャスクの衝突、落下や自然災害への安全性、単一・複数のキャスクについての臨界安全性、耐震面等の安全確保の考え方が端的に示されている。なお今回の指針では、貯蔵施設における貯蔵期間中及び貯蔵終了後に、収納された使用済み燃料集合体の検査等のために金属製の乾式キャスクの蓋等を開放することは想定していない。

検討にあたってきた原子力安全基準専門部会では今回の指針とりまとめに際し、キャスクの長期健全性に関する考え方をあわせて示している。それによると「金属キャスクの構成部材は長期間にわたり性能を維持できる設計であること、収納物は不活性ガスとともに封入されること、燃料被覆管は累積クリープ歪みによりその健全性を損なわないよう適切に除熱されること等を要求している。これらの要求に加え、金属キャスクが極めて静的に貯蔵されること、また、金属キャスクの蓋部の閉じ込め機能について、貯蔵期間中の監視とともに、異常が生じた場合の蓋の追加装着等、修復性に関する考慮を求めていることから、設計貯蔵期間を通じた貯蔵施設としての安全性は確保されると考える」としている。


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