[原子力産業新聞] 2002年7月25日 第2146号 <3面>

[米国] DOE、アイダホ研を技術開発拠点に

米国エネルギー省 (DOE) のS.エイブラハム長官は15日、アイダホ州にあるアイダホ国立工学・環境研究所 (INEEL) を第四世代原子炉開発イニシアチブなど米国における先進的な原子力技術研究開発の拠点に指定したと発表した。

INEELの職員を前にしたスピーチで同長官は、新たな使命を担う原子力技術開発の司令センターとしてINEELを再編成する費用として500万ドルの追加予算を回すことになると言明。これに伴いDOEの原子力環境管理局 (EM) が管轄していたINEELの運営は、第4世代原子力システムや先進的な核不拡散性の高い燃料サイクル技術の研究開発を担当する原子力科学技術局 (NE) に移管されるとしている。

同長官によると、INEELは米国の今後のエネルギー供給を支える、クリーンで信頼性が高く豊かなエネルギー源としての原子力発電を拡大する中核的な機関に生まれ変わる。同研究所がこれまで担ってきた環境浄化作業が優先事項であることは変わらないとしながらも、将来のために先進的で安全な原子力技術が重要ということを考えれば、INEELの中心的な使命を原子力技術の研究開発および実証に引き戻すことが必要だと指摘。今回の再編は米国が先進的原子力技術の研究開発能力を再構築する第一段階であるとの認識を示すとともに、この長期的な使命の実施にアイダホ州知事を始め同州から選出された議員達など関係各者と協力してあたっていきたいとの抱負を表明した。

具体的な作業の手始めとして同長官は、NEのW.マグウッド局長およびEMのJ.ロバーソン局長補佐に、DOEの関係局の上級職員やINEELの運営スタッフから成る共同移管作業チームの編成を指示。できるだけ早急に作業が完了するよう、今会計年度末までに移管計画を作成するとしている。また、マグウッドNE局長に対してはこのほかに、米国における原子力設備の拡大というブッシュ政権の目標支援のために、INEELで必要になると思われる施設や能力を特定するため、90日間かけて国内の原子力インフラを再審査するよう命じている。


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