[原子力産業新聞] 2002年7月25日 第2146号 <3面>

[フランス] 仏電力公社(EDF)、2種類の軽微な設計不備を確認

フランス電力公社 (EDF) は10日、耐震性に関する設計基準を満たす上で10サイトの原子力発電所で機器類の性能に2種類の不備があったことを原子力安全規制当局に報告した。

どちらも国際原子力事故評価尺度 (INES) で暫定的にレベル1の評定を受けているが、EDFは「確かにオリジナルの設計基準には合致していないが実際問題として耐震性が不適切と言えるような徴候は見られない」と弁明している。

1つ目の設計不備は使用済み燃料集合体の耐震性能に関するもので、130万キロワット級シリーズであるベルビル、カットノン、フラマンビル、ゴルフェシュ、ノジョン、パリュエル、パンリー、サンアルバンのPWR20基のほか、145万キロワット級であるシノン、ショーの6基のPWRで認められたと言う。EDFは原子力安全規制当局 (ASN) への報告の中で、「最近テストした結果、使用済み燃料集合体の間隔支持格子で機械的な変形への耐久性が落ちていることが判明しており、設計当時に放射線影響下の支持格子の劣化が過少評価されていたと思われる」と説明。強い地震が発生した場合、使用済み燃料集合体が常に冷却状態にあるよう設計されている外形構造に変形が生じる潜在的な危険性があることを認めている。これを受けて安全当局は、今後燃料集合体を設計する際はこの現象を十分考慮するようEDFに要請した。

もう一つの不備は、7サイトの原子力発電所建屋内部でつり上げ作業などに使われている可動式クレーン機器の耐震性で見られた。これらについてもEDFは実影響はなかったとしているが、地震発生時にはこれらクレーンの支持台および回転部分との連結台の耐久性は保証できないとの実験結果が出たことを明らかにしている。


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