[原子力産業新聞] 2002年7月25日 第2146号 <4面>

[米国] DOE開発計画で超臨界圧炉が選定される

東大の岡芳明教授と越塚誠一助教授の研究グループが開発した高温高性能軽水炉 (貫流型超臨界圧水冷却原子力発電プラント) の概念が、米国エネルギー省 (DOE) の第4世代原子炉の1つとして選定された。

同炉概念は、冷却水出口温度を500度C台の高温にでき、蒸気と水の分離や再循環が不要なので原子炉容器、格納容器、タービン、冷却系統が小型・簡素化できるうえ、熱効率も44%に向上するというもので、革新型炉概念として注目されていた。現在実用中の軽水炉は水を沸騰させ発生した蒸気を水と分離してタービンに送り発電している。このため蒸気温度は300度C程度で熱効率も34%程度、また蒸気と水の分離器や分離した水を再循環させる系統が必要となる。

DOEは世界各国の原子力専門家を集め、2030年以前の実用化をめざして第四世代原子炉の検討と評価を2年間行ってきた。世界各国から約100の原子炉の応募があったが、開発候補は6つまでに絞り込まれた。今回、岡教授らの開発する高温高性能軽水炉がそのひとつに選ばれた。同炉概念は水冷却炉のグループに分類されるが、同グループはもっとも応募が多く、激しい競争のなか、同炉概念 (熱中性子炉と高速炉) が唯一選定された。加圧水型軽水炉より約60%高圧にして水と蒸気が沸騰せず高温低密度の流体(超臨界水) になる。同炉概念は火力発電で約40年前に実用化された超臨界水の技術を応用したもの。東大では12年かけて同炉概念の開発を進めており、炉心設計だけでなくプラント熱収支、事故・異常などの過渡解析、プラントの制御や起動、安定性などにつき解析計算コードを作り検討済み。


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