[原子力産業新聞] 2002年8月8日 第2148号 <2面>

[原子力安全委員会] 専門部会、メンタルヘルス対策まとめる

原子力安全委員会の原子力施設等防災専門部会は六日、「原子力災害時におけるメンタルヘルス対策のあり方」(案)を審議し、大筋了承した。昨年6月にまとめた「緊急被ばく医療のあり方について」で積み残した今後の重要課題として検討を続けてきた。JCO事故の経験や地震災害等の自然災害での経験をもとに原子力災害時の心的衝撃、精神的負担、心理的変化等を整理、具体的な対応策と一元的な対応が行える体制整備を具体的に提言した。

特に原子力施設等の地元住民に対しては平常時から関連する情報の提供を行うことや、災害時の援助者への情報提供、教育訓練を実施しておくこと。加えて医療関係者が周辺住民等のところに赴いて援助を提供する「アウトリーチ活動」、相談窓口の設置等に関する準備を進めておく必要をあげている。実際の災害時の応急対策から事後対策にいたるまでの間の対応についても、情報伝達活動と避難等の措置、心のケアを重点にしたアウトリーチ活動、また健康相談や心の相談への対応等につき、混乱なく、災害対策本部等が一元的に、かつ実効的対応力を発揮できるよう具体策、留意点等が示された。

同専門部会は、今後、原子力災害時に内閣総理大臣から発せられた緊急事態宣言の解除にあたって、安全確実なその技術的要件、また社会的影響も踏まえ、避難民に安心感ある解除要件等を検討、年度内にまとめて防災指針に反映することを決めた。


Copyright (C) 2002 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.