[原子力産業新聞] 2002年8月8日 第2148号 <2面>

[サイクル機構] 遠隔製造に見通し

核燃料サイクル開発機構は7月25日、アメリシウム(Am)を含有したウラン・プルトニウム混合燃料(MOX燃料)の製造試験を行い、遠隔操作で作製できる見通しを得たことを明らかにした。

アメリシウムなどのマイナーアクチニド(MA)核種は、比放射能が高く、毒性が長期にわたり保持されるために、核種変換し、毒性等を低減してしまう技術が待望されている。高速増殖炉はその特性からMA含有の燃料を装荷し、燃料として燃やすとともに核種変換も同時に行うことができると期待されている。また核拡散抵抗性が高まるメリットもある。低除染TRU燃料製造の技術はこうした環境負荷低減にむけた革新技術開発のひとつ。低除染TRU燃料を使った燃料サイクルシステムでは、再処理の段階で、核分裂生成物が従来方法より多く随伴することから、高放射線下での操作が可能な重遮へいセル内での遠隔製造を想定している。このため同機構の照射燃料試験施設(AGF)を使って1999年からウラン取扱試験、2001年からはプルトニウム取扱試験を実施し、小規模ながらセル内での遠隔燃料製造技術を確立した。今年度はAm取扱試験を開始しており、これまでに約3%Amを含有するMOXペレットを作製できる見通しを得たもの。次年度末までに最大5%のAm含有MOX燃料のペレット作製技術を完成させ、2005年の照射試験をめざす。


Copyright (C) 2002 JAPAN ATOMIC INDUSTRIAL FORUM, INC. All rights Reserved.