[原子力産業新聞] 2002年8月8日 第2148号 <2面>

[東京電力] 日本初SC実用化

東京電力は1日、柏崎刈羽原子力発電所の雑固体廃棄物焼却炉建屋の建設に、日本で初めてSC(鋼板コンクリート)構造を全面採用することを決め着工した。

原子力発電所の建設工事における工期の短縮やコストダウンなどがねらい。東電では将来の原子力発電所建屋(原子炉建屋、タービン建屋など)でのSC構造の採用をめざし、1991年度から、SC構造に関する基礎研究に着手。その後の実用化にむけた共同研究成果等をもとに、1999年3月にSC構造の設計指針が策定され、SC構造適用の環境が整ったことから、今回、同焼却炉建屋への全面採用に踏み切った。2005年3月の供用開始をめざす。

SC構造は、従来のRC(鉄筋コンクリート)構造の「鉄筋」を「鋼板」に置き換えた新しい構造で、コンクリート打設のための“型枠”と兼用できるため、RC構造に比べ鉄筋工事および型枠工事が不要となり、現場作業が大幅に省力化され、建設工期の短縮が可能となる。東電では今後、原子炉建屋におけるSC構造の採用により、大型モジュール工法(躯体・設備のモジュール化など)が可能になるため、従来51か月(実績)を要していた建設工期を、約30か月へと大幅に短縮することを目標にしている。また、RC構造と比べ強度が約1.5倍と高いため鋼材量が低減、経済性が向上する 。原子炉建屋においてSC構造を採用した場合、建築工事費を約5%低減することが可能となる。


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