[原子力産業新聞] 2002年8月22日 第2149号 <5面>

[理研・東大] 中性子過剰な同位元素を発見

理化学研究所(小林俊一理事長)は、東京大学理学系研究科(附属原子核科学研究センター・物理学教室)と共同で、世界で初めて新しい中性子過剰な同位元素、34Ne(陽子数10、中性子数24)、37Na(陽子数11、中性子数26)、43Si(陽子数14、中性子数29)を発見した。同時に33Ne、36Na、39Mgは、原子核として存在し得ないことも見出した。理研加速器基盤研究部(矢野安重基盤研究部長)を中心とする研究グループによる成果。

理研では、2005年度に稼働を予定しているRIビームファクトリー(RIBF)の性能を最大限引き出すため、現有の加速器施設の整備を行った。今回、研究グループは、増強されたイオン源、直線加速器系などを用いることで、大強度48Caビームの発生に成功し、新しい同位元素の発見につながった。これら拡充された加速施設は今後、RIBFの入射系施設(前段加速器系)として活用される。

同位元素の存在限界の確認は、“原子核はそもそも何種類あるのか?”、“どうして原子核の安定性が得られるのか?”という物理学における究極の問題の1つにチャレンジするもの。RIBFの本格稼働により、さらに重い元素において、新しい同位元素が多く見つかることが予想されるという。

その結果、“万物を構成する元素がどのような過程を経て、誕生したのか”の問いに対して、1つの答えが得られるものと期待されている。

今回の研究成果は、物理学分野で著名な欧州の学術雑誌「PhysicsLettersB」(8月22日号)に掲載される。


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