[原子力産業新聞] 2002年8月29日 第2150号 <3面>

[仏DGSNR] 90万キロワット炉の運転 10年延長

フランスの原子力安全・放射線防護総局(DGSNR)は先月中旬、同国で70年代後半から80年代に運開した90万キロワット級PWRシリーズの34基すべてについて、さらに10年間の運転延長を認めた。

仏国内の全原子炉を操業する仏電力公社(EDF)に対する公開書簡の中で、DGSNRは、これら34基が10年に1度実施される大がかりな安全審査(90万キロワット級では今回が2度目)を無事にクリアしたことを保証。DGSNRで原子炉の安全性に責任を負っている恒久的な専門家グループが最終会合の席でこのような結論に達したことを明らかにしている。

DGSNRはまた、130万キロワット級PWRシリーズの20基についても10年に1度の大規模な安全審査を準備中。2005年に予定している検査開始を前に、専門家グループが今後の会合で安全審査の範囲や再評価作業の内容などを特定することになっている。

EDFは近年の電力市場自由化や同公社の一部民営化に際して原子炉の運転寿命を最大限に延長する戦略の重要性を強調しており、DGSNRの今回の決定によってこの戦略が強力に後押しされたと歓迎している。EDFの過去のコメントによれば、90万キロワット級PWRの20年目の大規模検査でかかるコストは、トリカスタン発電所で実施した蒸気発生器の取り替えなど追加でかかる出費を別にすれば、1基あたり資本費の5%ほどだと言う。

フランスでは原子炉の運転寿命は予め規定されていないが、安全性についてはそれぞれの安全分析報告書(SAR)と常に適合するよう定められている。10年に1度の大規模な安全審査は四か月にわたって実施されるもので、通常の燃料交換や保守点検作業のほかに(1)ロボットを利用した圧力容器の詳細な検査(2)原子炉格納施設の漏洩試験(3)一次冷却系の漏洩試験‐‐などが行われる。


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