[原子力産業新聞] 2002年8月29日 第2150号 <3面>

[米NRC] 補足検査を勧告

米国原子力規制委員会(NRC)は9日、国内69基のPWRの運転認可を取得している企業に対し、原子炉圧力容器上蓋で補足検査の実施を勧告する文書を送付した。

米国では近年、オハイオ州で稼働するデービスベッセ原子力発電所の圧力容器上蓋で深刻な腐食が見つかったほか、複数のPWRで圧力容器上蓋の貫通ノズルに亀裂や漏洩が発見されている。NRCとしてはノズルの亀裂やホウ酸水の漏洩、腐食の有無を探知する際、これまでのように目視検査に頼る方法では適切さに欠けるとの認識から、今後の検査方法について補足プログラムを検討するよう勧告することにしたもの。

NRCはすでに昨年8月、ノズルの周方向の亀裂・漏洩に関して検査情報を報告するよう被認可企業に通達。これに対してPWRの運転認可保有者はノズルからの漏洩を確認するため、圧力容器上蓋の外側表面から検査する計画などをNRCに報告した。NRCはまた、デービスベッセ発電所での上蓋劣化発見を受けて、今年3月18日には上蓋検査計画についてさらなる情報提供を要請する文書を全PWR認可保有者に送付していた。

このような経緯で収集したデータの分析の結果、NRCは従来の目視に頼った検査方法に加えて容積測定あるいは表面検査を追加で実施する必要があるとの結論に到達。認可保有者に対しては30日以内に今後の検査計画について文書で提出するよう指示する一方、電流や液体色素、超音波など追加検査用の技術、および日程についても凡例を提示している。


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