[原子力産業新聞] 2002年9月12日 第2152号 <2面>

[資源エネ庁] 高レベル廃棄物の公開討論会

資源エネルギー庁は、8日、核のゴミキャンペーン、高木学校、原子力資料情報室との共同企画により、「公開討論 どうする高レベル放射性廃棄物」と題するシンポジウムを東京千代田区の星陵会館で開催、約300名が参加した。資源エネルギー庁が原子力に批判的なグループと共同企画でこの種のシンポジウムを開くのは初めて。

シンポジウムでは、慶應義塾大学の長坂俊成助教授が司会をつとめ、石橋克彦(神戸大・高木学校)、佐藤みえ(核のゴミキャンペーン)、西尾漠(原子力資料情報室)の各氏、山近英彦(資源エネルギー庁放射性廃棄物対策室長)、山田哲也(資源エネルギー庁)氏らが参加した。

今回のテーマのひとつ「高レベル廃棄物はどこから来たの?」では、推進側が再処理のメリットとして使用済み燃料中のウラン、プルトニウムの再利用と、高レベル廃棄物廃棄物量の低減をあげたのに対し、反対派側は、プルサーマルが地元の事前了解が撤回されている状況や再処理によって高レベル廃棄物は減るが低レベル廃棄物が増えることなどをあげて反論した。

高レベル廃棄物による将来世代の負担については、推進側が高レベル廃棄物の処分主体や資金メカニズムなどが法律で定められ、現世代で発生した高レベル廃棄物は現世代が処分のメドをつけることが世代責任だと述べた。一方反対派は、世代責任を言うなら現在高レベル廃棄物を発生させている原子力発電所を止めるべきだと反発、司会の長坂助教授は、世代責任という言葉が推進派と反対派で異なった意味に使われていると指摘した。

高レベル廃棄物処分の安全性については、推進派が、処分の安全性は十分実証されており可能とする一方、反対派は、まだ技術開発であり実証はこれからだとした。

また処分場選定プロセスについて反対派は、制度的には住民の意見が反映されるようになっているが、結果的には無視される仕組みになっていると独自の観点から批判した。また、「概要調査地区」などの法律上の判りにくい用語への不満が示された。


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