[原子力産業新聞] 2002年9月26日 第2154号 <2面>

[原研] 高温ガス炉で仏と協力取決め

日本原子力研究所(齋藤伸三理事長)とフランス原子力庁(P・コロンバーニ長官)は、「原子炉研究の分野における協力実施取決め」を新たに締結した(=写真)。この中で、先進的原子力エネルギーシステムの一項目である高温ガス炉システムにおいて、安全性に優れ、水素製造などへの熱利用が期待される高温ガス炉の研究開発を相互に協力して実施していく。実施取決めのその他の項目については、今後逐次、特定協力課題を設定し、研究協力を実施していく。

原研では、昨年12月に高温工学試験研究炉(HTTR)において、原子炉出口ヘリウムガス温度805度Cで定格熱出力30メガワットを達成。今後は、950度Cを目指した試験、優れた安全性を実証するための試験、並びに、高温ガス炉から供給される高温の熱を用いて、水から水素を製造するなどの核熱利用技術に関する研究を進めていく。一方、フランス原子力庁(CEA)では、高温ガス炉の高い安全性及び経済性に着目し、ヘリウムガスループの建設、高温ガス熱中性子炉の建設等に関する高温ガス熱中性子炉研究開発計画を展開し始めており、最終的には高温ガス増殖炉の建設を目指している。

今回の実施取決めは、1992年9月から10年間にわたって原研とCEAが広範な原子力分野を対象として研究協力を行ってきた「原子力研究開発分野における包括協力協定」を今月23日に更新する中で、新たに締結したもの。今後、高温ガス炉システムにおいて、5つの特定協力課題(概念・システム、燃料、高温材料、冷却システム技術、水からの水素製造)について情報交換、人員派遣、共同研究などを通じた研究協力を進め、原子力エネルギー利用の多様化を目指した高温ガス炉研究開発の一層の進展を図る。


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